前回とまったくつながりませんが、今回も急に思いついたことを書き連ねます。
昨年は松本清張生誕100周年ということで、いろいろと特集などが組まれていました。
松本清張はいわゆる国民的作家、と呼ばれる立場の作家ですが、福田和也の「作家の値うち」でも触れられているように、現在における国民的作家の一人といえば、宮部みゆきの名前を挙げてもさほど的外れとは言われないと思います。
しかし、時代が下ったせいはもちろんあるのでしょうが、松本清張の作風と宮部みゆきのそれとは、大きな違いが当然のことながらあります。 共通しているのは「模倣犯」「理由」「火車」に見られるような時代性、ということでしょうが、松本清張にはまったく見られなかった特徴としては、ファンタジー・異世界・スーパーナチュラルなどの要素が出てくることが多いことです。
(図1)
このほかにも宮部作品には、主人公が犬であったり、強大な力を持った超能力者や、タイムスリップなど、一見すれば荒唐無稽、つまり『大人の鑑賞に耐えない』と固い読者から一蹴されてもおかしくないような要素が多分に登場します。 それは、作家としての資質とともに、宮部みゆき先生にとってはそれらの要素が大人の鑑賞に耐えうると思っているからこそ、入れることにためらいがないのだと思われます。
(図2)
(図3)
書いているうちにこのテーマがいけそうな気がしてきましたが、続くかどうかは未定です。
(担当 有冨)