ライトノベル作家、というものは今でこそ目指すもの・目標としてなるものですが、黎明期には当然のことながら『ライトノベル専門の作家』というのはほぼ存在していませんでした。
なので、最初期にライトノベルを書いていた作家の多くは、他のジャンルで活動していた方が多くいました。
今回紹介する作家の方もそうです。
(図1)
また「超獣機神ダンクーガ」のOVA作品「GOD BLESS DANCOUGA」や「機甲戦記ドラグナー」のノベライズも書いていました。
しかし、園田先生は意外なことに、ノベライズではなくオリジナルのストーリーで角川スニーカー文庫に参加します。
それが上の画像の作品「ティラノ―剣狼伝説魔空界編」 (図1) です。
この作品、タイトルからあれっ、と思った方は「マシンロボ クロノスの逆襲」のファンの方だと思います。
「クロノス〜」に登場したアイテム”剣狼”が登場する話ですが、ストーリー的には特につながりがあるわけではありません。イラストが「クロノス」のキャラクターデザインのはばらのぶよしさんであることくらいでしょうか。
ちなみにこの作品は、いちおうファンタジーに属する作品ですが、園田先生がファンタジーに特にこだわりがなかったためか、ファンタジー色よりもバイオレンス色 (というかエログロ色) が強く、ヒロインが暴漢たちに乱暴されかかったり、主人公が両性具有の盗賊に誘惑されたり、
中ボスとの決戦で主人公が腕を切断されたりと、なかなかハードな展開のストーリーだったりします。
もともとテレビアニメの脚本を手掛けていたためか、前半の展開がかなり遅く、その代り後半怒涛の展開で話が展開した「ティラノ」ですが、いちおうストーリーは全6巻で完結します。
兼業作家にしては、なかなかのスピードで「ティラノ」を発表していた園田先生は、完結後「聖竜王伝」という新シリーズをスタートさせますが、これが全4巻 (予定) のはずが1991年に3巻が刊行され、以来未完のまま放置されています。
仕事が忙しくなったから…というのは言い訳にならないものの、まだ納得できる理由ですが、実際には「聖竜王伝」未完のまま、同じスニーカー文庫で「絶対無敵ライジンオー」のノベライズの執筆も行っているので、この理由も苦しいところです。
現在はアニメの仕事のほかに主催する劇団の仕事を手掛けているという園田先生ですが、未だ昔の小説を忘れていないファンが多いということを知ってくれるとうれしいのですが…。
次回もこのテーマの予定です。
(担当 有冨)