岩井の本棚 「マンガにでてくる食べ物」 第46回 |
はくさいしいたけにーんじん よしながふみ先生キャベツキャベツ
今は亡きナンシー関さんが「化学調味料の塊」などと思うのだが「やっぱりうめえな、ちくしょう」と、
ついサッポロ一番塩ラーメンを食べてしまう・・・というエピソードがありました。
僕はこのエピソードとともに「毎年のように新しい味が出るものの、 ファンタのオレンジとグレープがあまりにうまい(故にそれ以外のフレーバーが定着しない)」とあったのを見て「ああ、そうなんだよなあ」と大いに同調したのです。
ファンタのオレンジとグレープはたしかに美味しいのですが、それをいい大人は口には出しません。 やれ人口甘味料だ、着色料だ、保存料だ、無果汁だ・・・といった「オトナが認めないもの」が入ってるからです。 しかし過去シュウェップスやアップルタイザーなど果汁分の高いジュースが参入しても「コーラに次ぐ炭酸飲料2位」的な位置はずっとかわらないままでした。
果汁の多寡に関わらずファンタのほうを選ぶ人々が実際は多かったのです。
僕が子供の頃、母が買いおきしてたジュースは180mlで果汁70%の缶ジュースで、プルトップではなく、 缶きりみたいな尖った金具で上下二箇所にプスリと穴を開けないと飲めないというシロモノでした。
これは確かに濃厚で美味しいのもガキなりにはわかるのですが、しかし近所の商店の店先にあった、 ビンをガコンって引き抜く式の自販機で買えるキンキンに冷えた瓶ファンタオレンジや、 駄菓子屋で中身だけ50円で売ってた地サイダーのほうが5倍くらいうまかった気がします。
子ども以外でも、ジュースに高尚さなんて求めたってナンセンスな瞬間って確実にあると思うんですよね。
仕事中や食事にはファンタは合いませんが、クソ暑い最中、自転車に乗りながら飲むにはファンタが圧倒的にうまいです。
僕はこのエピソードとともに「毎年のように新しい味が出るものの、 ファンタのオレンジとグレープがあまりにうまい(故にそれ以外のフレーバーが定着しない)」とあったのを見て「ああ、そうなんだよなあ」と大いに同調したのです。
ファンタのオレンジとグレープはたしかに美味しいのですが、それをいい大人は口には出しません。 やれ人口甘味料だ、着色料だ、保存料だ、無果汁だ・・・といった「オトナが認めないもの」が入ってるからです。 しかし過去シュウェップスやアップルタイザーなど果汁分の高いジュースが参入しても「コーラに次ぐ炭酸飲料2位」的な位置はずっとかわらないままでした。
果汁の多寡に関わらずファンタのほうを選ぶ人々が実際は多かったのです。
僕が子供の頃、母が買いおきしてたジュースは180mlで果汁70%の缶ジュースで、プルトップではなく、 缶きりみたいな尖った金具で上下二箇所にプスリと穴を開けないと飲めないというシロモノでした。
これは確かに濃厚で美味しいのもガキなりにはわかるのですが、しかし近所の商店の店先にあった、 ビンをガコンって引き抜く式の自販機で買えるキンキンに冷えた瓶ファンタオレンジや、 駄菓子屋で中身だけ50円で売ってた地サイダーのほうが5倍くらいうまかった気がします。
子ども以外でも、ジュースに高尚さなんて求めたってナンセンスな瞬間って確実にあると思うんですよね。
仕事中や食事にはファンタは合いませんが、クソ暑い最中、自転車に乗りながら飲むにはファンタが圧倒的にうまいです。
(図1)
もしここで「あたしごま味」とか「長崎タンメン味」というセリフがあったら、間違いなく一発で気がついたのに!
(図2)
味噌というと中華三昧のミソ味も1年に1回くらい食べたくなるなあ
(図4)
僕の知り合いはモヤシと揚げ玉オンリーという異色派
(図5)
インスタントラーメンは具を入れると水も多くしてしまいがちなので、スープを薄めないためにも水計量はけっこう重要です
(図7)
いつもより強めなケンちゃんの表情がいい
(図8)
即食べですよね
(図9)
絵は白菜なんだけど字はキャベツ
それと同じような強さがあるのがインスタントラーメンです。
一袋100円未満で買える袋ラーメンに「化学調味料が入ってるじゃないか!」「体に良いとはいえないじゃないか!」と攻めるのは意味がない話だと思う。
現実に美味い、いつでも買える、そして安いことに最上の意味があるのが袋ラーメンなわけで、 体に良くて正しく美味いラーメンを求めてるんなら袋ラーメンなんか食わんくて無化調がウリのニューウェイブ系のラーメンを食べにいけばいいのです。 インスタントラーメンをラーメンの代用品としてとらえてるとしたら大きな間違いです。
ナンシー関さんもそういった諸々を含めて、でも圧倒的に「うまい」ことは認めるほかない。 それが「やっぱりうめえな、ちくしょう」といったセリフにつながったのでしょう。とくに「ちくしょう」が。 このセリフは袋ラーメンを称える最高の文句だと感じちゃいますね。
さて今週のモーニングには月に一度のおたのしみ、よしながふみの「きのう何食べた?」が載ってましたが、 うんうんと小刻みにうなずきながら一気に読み終えました。それがね、サッポロ一番の話だったんです!
冒頭。主人公のパートナーが勤める美容室で
季節柄、鍋の味付けかな? と思って読み進めると・・・。
「俺絶対しょうゆ!」といった人がなぜ「少数派」って指差されてたかが一瞬で理解できましたわ!(図3)
味付けん中でしょうゆが少数に回ることって普通はないだろうけど、サッポロ一番だったら、圧倒的にみそか塩ですから!
袋ラーメンってそのまま具を入れずに食べても美味しいけど、本作ではきちんと具も炒めてのみそラーメン。
一人暮らしだとにんじんとか白菜ってのがやっかいで、家にまず常備してないし、買うとなると単位がでかくて苦労するんだよなあ。 僕だったらわかめと長ねぎはいれないなあ。卵も。
分かりやすくたとえるなら香川人にとっての「うどんの汁のあつい・つめたい・ぬくい」、 茨城人にとって「納豆のトッピングや混ぜ方」。 自分の好み、好きなようにやりたい、人にはさわられたくない!という領域です。
滅多に料理なんぞしない父が、40を超えてからもときどき一人のときに、 タマゴをブチこんだ「チャルメラ」(明星食品)と芋煮(父は山形人です)を作ってたのをみたことがあるのですが、 あれが父にとっての調理結界だったんですね。
作業工程を見てるだけでも「自分の領域」感がしっかり出てて野菜は炒めるとして、 卵どう使うのかと思ったらレンジでチンして乗っけるのね・・・とか、 もやしは炒めないで、歯ごたえがかなり残るように寸前で煮るのにとどめるのね・・・とか、
バター入れるんだ、にんにくもオプションで入れるんだ、とか、
みそなのに七味じゃなくて、コショー入れる派なのね・・・とか、
粉末スープは鍋に入れるのではなく丼にいれ、水の計量もきっかり計るのね・・・とか(図5)、 随所にちゃんと作って食べてる人・よしながふみ、というハンコを奥付にドンと捺されたような説得力があります。
「いろいろとフリーダムな感じで」ってありますが、まさにその通り。
店ラーメンだったらチャーシュー、メンマ、ハイおしまい、ですが、家にはチャーシューもメンマもフツーないですからね。具は自由に入れていいんです。
ちなみに韓国では辛ラーメンにキムチとスパム(コンビーフの親玉みたいなヤツです)を入れると聞きますが、まだやったことがない。 何でかって、スパムとキムチ買うと1000円近くするから、なんかC/P比悪い気がするのと、これで失敗したら大惨状だ・・・と思うとビビってしまうんですよね。
さあ完成、とエプロンもとらずに一気に食べる。ズルズル、フーフーって。
作り終わったら食べてる最中にケータイ鳴っても取らない。なんで電話取らねーんだよ!って怒った相手も
皆さんもこの言い訳使ってみてください。
分かってくれるやつはいい人、これで「食いながらでも電話でれんじゃん」とか「サッポロ一番とアタシ、どっちが大事なの!」って言い出すのがダメなヒトです!
なんか尺度歪んでないかって? いやいや、そんなことないですとも!
でニヤニヤと目を細くしてもう一度読み直したんです、そうそう、みそラーメンに白菜って店ではやらないけど家でやるとなかなかなんだよなあ・・・って。
アレ?
それで食べてる図はコレ(図6)。
そしてセリフ。
一袋100円未満で買える袋ラーメンに「化学調味料が入ってるじゃないか!」「体に良いとはいえないじゃないか!」と攻めるのは意味がない話だと思う。
現実に美味い、いつでも買える、そして安いことに最上の意味があるのが袋ラーメンなわけで、 体に良くて正しく美味いラーメンを求めてるんなら袋ラーメンなんか食わんくて無化調がウリのニューウェイブ系のラーメンを食べにいけばいいのです。 インスタントラーメンをラーメンの代用品としてとらえてるとしたら大きな間違いです。
ナンシー関さんもそういった諸々を含めて、でも圧倒的に「うまい」ことは認めるほかない。 それが「やっぱりうめえな、ちくしょう」といったセリフにつながったのでしょう。とくに「ちくしょう」が。 このセリフは袋ラーメンを称える最高の文句だと感じちゃいますね。
さて今週のモーニングには月に一度のおたのしみ、よしながふみの「きのう何食べた?」が載ってましたが、 うんうんと小刻みにうなずきながら一気に読み終えました。それがね、サッポロ一番の話だったんです!
冒頭。主人公のパートナーが勤める美容室で
「うちは昔から塩だなー」などと言い合っているシーン(図1)。冒頭なので何の話かはまだわからない。
「あたしみそ」
「俺絶対しょうゆ!」
季節柄、鍋の味付けかな? と思って読み進めると・・・。
「じゃーん!! 今年の年越しそばはサッポロ一番みそラーメンでーす!!」(図2)ああ〜あ!! 冒頭の味の話って、サッポロ一番の味の好みの話かよ!!
(図3)
チャルメラだったらミソや塩を選ぶ方が少数派ですね
味付けん中でしょうゆが少数に回ることって普通はないだろうけど、サッポロ一番だったら、圧倒的にみそか塩ですから!
袋ラーメンってそのまま具を入れずに食べても美味しいけど、本作ではきちんと具も炒めてのみそラーメン。
「ラーメンに入れる具材は白菜・もやし・にんじん・長ねぎ・わかめ・豚肉それに卵」おお。豪華ですな。
一人暮らしだとにんじんとか白菜ってのがやっかいで、家にまず常備してないし、買うとなると単位がでかくて苦労するんだよなあ。 僕だったらわかめと長ねぎはいれないなあ。卵も。
「やっぱり袋ラーメンだけは自分流に作って食べたいんだよね〜」(図4)このセリフイイ! そう、人には料理してく上で他人に指図されたくない領域ってのが絶対的にある。 そしてある種の人々にとって、袋ラーメンにもそれが存在するのです。
分かりやすくたとえるなら香川人にとっての「うどんの汁のあつい・つめたい・ぬくい」、 茨城人にとって「納豆のトッピングや混ぜ方」。 自分の好み、好きなようにやりたい、人にはさわられたくない!という領域です。
滅多に料理なんぞしない父が、40を超えてからもときどき一人のときに、 タマゴをブチこんだ「チャルメラ」(明星食品)と芋煮(父は山形人です)を作ってたのをみたことがあるのですが、 あれが父にとっての調理結界だったんですね。
作業工程を見てるだけでも「自分の領域」感がしっかり出てて野菜は炒めるとして、 卵どう使うのかと思ったらレンジでチンして乗っけるのね・・・とか、 もやしは炒めないで、歯ごたえがかなり残るように寸前で煮るのにとどめるのね・・・とか、
バター入れるんだ、にんにくもオプションで入れるんだ、とか、
みそなのに七味じゃなくて、コショー入れる派なのね・・・とか、
粉末スープは鍋に入れるのではなく丼にいれ、水の計量もきっかり計るのね・・・とか(図5)、 随所にちゃんと作って食べてる人・よしながふみ、というハンコを奥付にドンと捺されたような説得力があります。
「いろいろとフリーダムな感じで」ってありますが、まさにその通り。
店ラーメンだったらチャーシュー、メンマ、ハイおしまい、ですが、家にはチャーシューもメンマもフツーないですからね。具は自由に入れていいんです。
ちなみに韓国では辛ラーメンにキムチとスパム(コンビーフの親玉みたいなヤツです)を入れると聞きますが、まだやったことがない。 何でかって、スパムとキムチ買うと1000円近くするから、なんかC/P比悪い気がするのと、これで失敗したら大惨状だ・・・と思うとビビってしまうんですよね。
さあ完成、とエプロンもとらずに一気に食べる。ズルズル、フーフーって。
(図6)
麺がまっすぐじゃない波打ってる感じがサッポロ一番ぽい!
「あーうまー うーん麺のゆでぐあいもきゃべつのくたくたぐあいも長ねぎの半なまぐあいもベストだわ うま〜〜」(図6)ああ・・・今日絶対、オレサッポロ一番買って作ると思う! ていうか今週の木・金曜日、全国のコンビニでサッポロ一番買う女性超多かったハズ。 誰でも作って食べれるだけにいやオレ方式はこうやって・・・と強く高まるモノがありますね。
作り終わったら食べてる最中にケータイ鳴っても取らない。なんで電話取らねーんだよ!って怒った相手も
「サッポロ一番作って食べてた」(図7)って返されると
「・・・サッポロ一番じゃ仕方ねーな」と相手も納得せざるをえないこの「返せない」理由の高さ。
「作ったら即食べだよなアレは」(図8)
皆さんもこの言い訳使ってみてください。
分かってくれるやつはいい人、これで「食いながらでも電話でれんじゃん」とか「サッポロ一番とアタシ、どっちが大事なの!」って言い出すのがダメなヒトです!
なんか尺度歪んでないかって? いやいや、そんなことないですとも!
でニヤニヤと目を細くしてもう一度読み直したんです、そうそう、みそラーメンに白菜って店ではやらないけど家でやるとなかなかなんだよなあ・・・って。
アレ?
「ラーメンに入れる具材は白菜・もやし・にんじん・長ねぎ・わかめ・豚肉それに卵」(図4)「豚肉が炒まったらにんじん白菜の順に炒めていって・・・」だよね? でも完成図はコレ(図9)
それで食べてる図はコレ(図6)。
そしてセリフ。
「あーうまー うーん麺のゆでぐあいもきゃべつのくたくたぐあいも長ねぎの半なまぐあいもベストだわ うま〜〜」あれ!? キャベツ? 白菜はどこいったのよのさ! よしなが先生!
袋の調理図には野菜を入れてタンメン化するのがお勧めになってますけどね。
サッポロ一番塩ラーメンがエラいのは、アレに代わるものがない、自分でイチから作れない・・・ということです。
なにしろ店で出してるような塩ラーメンとは全くベクトルの違う味です。
あたりまえに考えたらインスタントってくらいだから、店で食べるものの劣化版になるのが通常です(有名ラーメン店監修のカップメンがこの発想ですね)が、 店であの独特の塩味に出会えたことがありません。 もちろん無化調と鶏ダシで手間隙かけてつくった現在ハヤリの塩ラーメンと比べるのがそもそものジャンル違いなんですが「サッポロ一番塩ラーメンの味を再現してる店がある!」という話になったら僕間違いなく行くとおもう。
ちなみに九州人にとって「うまかっちゃん」(ハウス食品)は、間違いのない絶対的定番という意味らしく、 マズいラーメンをけなすときには「これだったら家でうまかっちゃん食ってたほうがマシばい!」 というおきまりの罵倒セリフがあるそうです。
まあ思ってるのはいいけど、言われたら相当ヘコみますねそのセリフ。
たしか「ひまわりっ! 健一レジェンド」にも
「東京には「うまかっちゃん」が売ってないんだ!」ってショックを受ける宮崎人のシーンがあったような気がするのですが、地方の人にとってこういうソウルフード的袋メンってけっこうあるでしょうね。
ちなみにサッポロ一番=サンヨー食品は北海道のメーカーではなく、群馬のメーカーです。マルちゃんとごっちゃになってる人も多いみたい。
ちなみにちょっと前、若い子の前で「ペヤングソース焼きそば」のCMの「まろやか〜。 もいっちょ行く〜?」というモノマネを、 なんかの会話のおりに僕が腰を振りながらやったのですが、 相手がそのCMを全く知らなかったので相手は呆然とし「何で突然オカマっぽくなったんだろう、あの人変態なんだろうか」と思ってたと聞きました。 ・・・昭和も遠くなりにけりですな。
しかし今考えてみると、どんな「会話のおり」にペヤングのモノマネを登場させる必要があったのかがサッパリわかりません。
何を表現したかったんだろうオレ。 疲れて・・・いや、ひょっとして僕、狂ってたんでしょうか。
1年半ぶりの更新です。また少しずつ更新していきますので、よろしくです。
※この記事は2008年11月28日に掲載したものです。
(担当岩井)