岩井の本棚 「マンガにでてくる食べ物」 第40回

焼きそば弁当

注釈※1

東洋水産。一袋に麺が二つ入っている袋入りインスタント麺。北海道限定販売。


注釈※2

「昔ながらの中華そば」「うまかっちゃん」等と同じ地方限定袋入りラーメン。みそ、塩、醤油の3タイプがある。東北以北販売。


注釈※3

北海道限定の袋入りインスタント焼きそば。作り方的には「日清焼きそば」と同様、ゆでた麺を乾煎りする。


注釈※4

S&B製造。袋のデザインがかれこれ数十年変わっていないレトロな袋入り。稀に北海道物産展などで、首都圏でも手に入る。

今月からずっと札幌店でお世話になっている僕ですが、北海道中心に営業しているコンビニ、セイコーマートに行ってびっくりしました。 セイコーマートは北海道だけで800店舗もあるというすごい勢力ですが、北海道ローカルの食品も数多く扱っているため道民の心のよりどころとなっております。
たとえば「コアップガラナ」とか「ベル・ジンギスカンのたれ」「ソフトカツゲン」など、道民の生活になくてはならないものがまさに24時間いつ何時であろうとも手に入る。そんな店です。

道民でない僕から見ると、セブンイレブンには焼肉のタレでさえ置いてないのに、 ジンギスカンのタレがある、というだけで驚きですし、コンビニにタレ(大)と(小)の2種類を置くほど需要がある、のもビックリです。

夜中の3時にラム肉焼いたけれどタレを切らしてしまった! という非常事態でも、セイコーマートがある限り安心です。
逆に道民はセブンに対し「なんだ、ジンギスカンのタレも置いてないのか、この店は」と蔑視しているに違いありません。

そんなセイコーマートのインスタントラーメンコーナーは、あきらかに内地のそれとは違うラインナップでした。
北海道には東洋水産(マルちゃん)の工場があるためか、袋もカップも、シェアが著しく高いようです。

はじめてみたものではレトロな袋の「ダブルラーメン」(注釈※1)とか「屋台十八番」(注釈※2)「焼きっぺ」(注釈※3)などは、 北海道限定販売らしく見たことがありませんでした。
マルちゃんではないですが「ホンコンやきそば」(注釈※4)もここ北海道限定です。

名古屋の人にとってのすがきや、博多人にとってのマルタイ、群馬人にとってのぺヤングとまではいかなくとも、マルちゃんはかなり道民ごひいきのメーカーであることは否めないようです。


(図1)
これが焼きそば弁当


(図2)
最近発売の焼きそば弁当・醤油味


(図3)
「ドンキーカルテット いわい勝」でググってもヒットしません


(図4)
「伊賀野カバ丸」よりカバ丸


(図5)
「かってに改蔵」より山田さん

ではそんな道民にとって、カップ焼きそば、といえば、これ、焼きそば弁当(図1・2)以外の何者でもありません。
なにしろ北海道限定販売なのにもかかわらず常時2種類のTVCMが打たれていることからも、 そのリキの入りようが分かると思います(現行の全国販売商品「俺の塩」や「昔ながらのソース焼きそば」はCMが新発売時しか流されてないにもかかわらず、です)。

なぜ「弁当」かというと、スープが附属で入っているから。お湯を沸かし、焼きそばに注ぐ。
しかるのち、通常だったらそのまま捨ててしまうゆで汁を、カップに入れたスープに注げば、 わざわざお湯を捨てに行かなくともよい、という一石二鳥の発想です。

今でもたまに売られている「焼きそばバゴォーン」と同じですね。
ちなみに「焼きそば弁当」はコンソメスープ、「バゴォーン」はワカメスープです。

しかし捨てるお湯をスープに、は僕子供の頃に、親に下品だからやめなさい、 といわれた覚えがあります。たしかに本来捨てるものを流用するのに抵抗を覚える人もいるだろうし、 ゆで汁は油ギトギトなので、ダイエットを心がけている人は普通のお湯で作ったほうがよいかもしれません。

余談ですが「焼きそばバゴォーン」は90年代最初?のごくごく一時期、 スープではなく粉末烏龍茶がついていたことがありました(確か赤い袋だったと思う)。

もちろんお茶なので水や湯で溶かすのですけれど、多くのマルちゃんユーザーは男らしさゆえか全くその辺を考慮せず、 ふつうにバンバンゆで汁で烏龍茶を作ってしまい、全国の独身アパートで大量に油ギッシュな烏龍茶が出来上がってしまった、との話です。

しかしゆで汁で作られた烏龍茶もオエッとなるほどマズそうですが、 その前に「粉末烏龍茶」ってなんだ? ひどく不気味です。
不評だったためワンシーズンでまたわかめスープに戻ってしまいました。残念でなりません。

話を戻しますが、焼きそば弁当とその他の違い、といえば、ソースの味付けがやや甘い、 薄く感じる点でしょうか。道民の中には同じ焼きそばでも「UFOは濃い、しょっぱい」と感じるものも少なくないようです。

現在は「焼きそば弁当」「焼きうどん弁当」「焼きそば弁当醤油味」「大判焼きそば弁当」があり、 さらに焼きそば麺が二つ入った「でっかい焼きそば弁当」もあります。

これは「ペヤング超大盛り焼きそば」に対抗したんだろう、と推測しましたが、麺が200グラムでハンパない量なので、 たいていの人は喰い飽きるか残すハメになる恐ろしい代物です。
一個食べただけで余裕で1000カロリーを越える(はるさめヌードル10個分以上のカロリーです)という、ダイエッターにとっては天敵ですね。

さてこのコラムはマンガに出てくる食べ物を紹介するコーナーですが、 焼きそば弁当・・・ときいて思い出したのが「こち亀」です。そのフレーズ、たしかに聞いたんだけれど、どこだったか分からない・・・。

仕方がないので在庫を片っ端から調べて、マン喫にも通い、やっとこ見つけましたよ。
こち亀を60冊以上読んで、やっとこ見つけたのがこのシーン(図3)。

これですべて氷解しました。ああ、これだよ焼きそば弁当!

ちなみに「なつかしのお笑い」みたいな番組で、ドンキーカルテットを紹介していたことはあるのですが、このギャグはついぞ見たことなし。

本当に演奏の途中で焼きそば弁当なんか、食べたりしたのか? これは誰に聞いても定かではありませんでした。
誰か教えてください! ドンキーカルテットってドリフから分裂した、とか小野ヤスシが在籍してた、くらいしか知らないんですよね。

それでは少しあまったので焼きそば大好き少年(図4)、と焼きそばパン大好き少女(図5)を紹介しましょうか。

注釈※5

TEATIME作の3Dエロゲー「らぶデス」で委員長が言っていたセリフ(だったと思う)。

あー、そういえば「焼きそばとパンって両方とも炭水化物じゃない。合理的じゃないわ」、っていってたのはだれでしたっけ(注釈※5)。また謎が増えてしまったぁぁぁ・・・。

「こち亀」「かってに改蔵」「伊賀野カバ丸」、ともに札幌店で取り扱いをしております。

ついでにマルちゃん「焼きそば弁当」はまんだらけ札幌店の階下の100円均一で手に入りますよ! 本を買ったあとは焼きそばにお湯を注いで、スープを作るべし!

※この記事は2006年2月17日に掲載したものです。

(担当岩井)

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