岩井の本棚 「マンガにでてくる食べ物」 第38回

ティーン向けナポリタンをおっさんが作るとどうなるのか


(図1)


(図2)


(図3)

いまぼくは札幌店でお世話になっているのですが、宿舎はかなりリッチなところです。なんと4部屋もあるのですから。 駅から1分、もちろん風呂トイレ別だし冷蔵庫もデッカイし、いたれりつくせりです。

・・・まあ前住人(スタッフ竹下・・・第22回25回参照)が源氏パイの食べかすを床に散らかしたままだったり、 その前の住人が戸棚にタマネギをほったらかしてたためにタマネギがミイラ化してたりという惨事はありましたけれど・・・。
しかも源氏パイのカスがじゅうたんに押しつぶされて、容易に取れなくなってんです。悲しくて悲しくて5回くらい枕を壁に投げつけてやりましたよ。

しかし困ったのは、調理器具やら調味料やら食器やらが少なくて、自炊が出来そうにないことです。
せっかくガス口が4つもあるガステーブルなのに、それを生かすだけの環境にないんですよね。 北海道は海・山の食材に恵まれた地だけに、自分で料理できないのは残念でなりません。

なので夜はどうしても外食かコンビニ生活です。
昨夜もコンビニに行き、ナポリタンを買って食べました。
まあコンビニのナポリタンですから、可はなく不可だらけ、というダメナポリタンだったわけですが、ナポリタンといえば粉チーズがつきもの。それがない。タバスコもない。

じゃあ買えば? と思うかもしれません。でもその両者を買うと、600円余分にかかるんですよ。 しかも一回こっきりしか使わないのに。これだったら喫茶店でナポリタン食ったほうがいいわけです。

にしてもこんな北の果てまで来てナポリタンの粉チーズがないのが悲しい、なんて、ぼくはなんて小さいんでしょうか。

そんなわけでまあ、ナポリタンはまずかった。
自分で作った方が、はるかにうまく作れるよ! と憤り、今日はナポリタンを自分で作ろうと思い立っているのです。
でも、そういえば自己流でいままで作ってて、作り方を誰に聞いたわけでもないし、読んで覚えたわけでもないんですよねえ。

ちなみにぼくはベーコンとたまねぎを炒め、塩コショウし、トマトピューレとケチャップを加え、 それに茹でたスパゲティ(使うのは1.7mm)をあえる。ごくごく普通の作り方で作っています。

きちんと作ってみよう。
そう思い立って職場を見回したのですが、うちの職場には料理の本はありません。
・・・とガッカリしていると、あった、ありました。
ビンテージの棚に、児童書くくりで置いてあるものが2種類。

「おやつクッキング」(図1 学研ユアコースシリーズ)
「ミニレディ百科 楽しいクッキング」(図2小学館入門百科シリーズ)

まあ、小学生くらいの女の子が初めて料理する、と。その解説書ですね。
そういう状況を想定して作られた本です。でもなんか装丁にはすごい差があるよなあ。

おやつクッキングのほう、何でこんなに表紙、余白多いんでしょう。
生クリーム作ってるのはいいとして、机にサクランボじか置きだし、冷蔵庫の中に入っているのは果物とチーズばかりだし、 窓からは不気味な赤い色の動物が覗いているし、女の子は拒食症みたいにガリ子だしで、見つめてるとなんか首筋の毛がゾワゾワする。

対するたのしいクッキングのほうは、まあ女の子の服装がアレなほかは問題ないのですが描いてある惹句がイイ。
「たのしく作っておいしく食べてチャームアップ!!」
作って食べるだけでチャームがアップするというのです。これは作らねば食べねばですね。

でさっそくたのしい・・・の目次から、ナポリタンのページを探す。ああ、あったあった。
「ティーンの大好きなスパゲティー。作り方もカンタンで〜〜す。」
何で30にもなってティーン向け学習書なんか読んで、しかもナポリタンの作り方なんか。やんなったけれど続ける。


(図4)

まず材料(図3)。
スパゲッティ300グラムで4人前か・・・さすがにティーンは小鳥のように小食ですね。とても足りる気がしません。
ベーコンじゃなくてハムで作るのか。喫茶店みたいで好感が持てますね。作り方は次のページ・・・とめくったらビックリした。

「約15分くらい、ふきこぼれないようにゆでる。」(図4)

エエーーッ! 15分? そんなにですか? でも次のコマには

「1本つまんでしんがめん糸ぐらいになっていたらOK。」

料理をあまりしない人の為に一応、ですが、スパゲッティは現在普通に売られている物で一番太いのは1.9ミリです。
これのゆで時間が11分か12分。
15分もゆでないといけないのはどんなスパゲッティなんだろうか!?もちろんしんが残るわけないです。


(図5)

不安になって「おやつクッキング」を見てみました(図5)。

材料からしてこっちはなんか違う空気がしました。
ハムとベーコン両方用意しろってあるし。調味料でパプリカかよ。あまり普通の家にはパプリカないですよ?
パプリカ買うとひと瓶300円するから買うとC/P悪くなるけれどなぁ。

あとスパゲッティ320gで4人前、っていわれても。細かいなあ。 スパゲティはふつう300gか500gで売られているので、どちらにせよ中途半端に足りないか余るし。

で、次のページから作り方・・・と。めくったらやっぱり、

「スパゲッティはふっとうした湯にいれ15分ほどでかためにゆでます」(図6)

15分でかためかよ!!


(図6)

昔のスパゲティはそんなに茹で上がるのに時間がかかったんでしょうか?
それとも太かったんでしょうか?
自分的にはここ15年くらい、ゆで時間が変わった気がしないんだけれどな・・・もちろん15分ゆでた記憶もありません。

しかしティーンのために、おいしく料理するには、そしてチャーム・アップするには、 ぜったい15分ゆでなきゃダメ、と、二人もの執筆者が言っているのです(ちなみに両者とも執筆者は別の人です)。

あとぼくはこの本の対象年齢のティーンではないですが「君はおっさんだから15分ゆでなくともOKですよ」って話にもならんだろう。
いやむしろこれはたぶん、おっさんに向けての挑戦状かも。

「ティーンの感受性だったら15分ゆでたのでも充分おいしいけれど、おっさんにはムリかもよ」

・・・15分ゆでてやろうじゃないですか。

たとえそこに11分用しかなくとも、15分ゆでて、この本通りに作ってみて、そいで食べてみますよ。 食べてからじゃないとわからないじゃないか。それでおいしかったら、たぶんぼくはまだ心はティーンですよ。

明日以降の調理結果を楽しみにしていてください。

ティーン達をワクワクさせ、年配者を困惑させるこんな児童書系書籍、札幌店にもたくさんありますよ! レアなジャガーバックスから入門百科シリーズまで、ぜひ札幌店にお越しください♪

※この記事は2006年2月10日に掲載したものです。

(担当岩井)

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