『沙庭とサニハ的思考』勅使河原大鳳著 山雅房刊 ¥3150 平成3年(函入り) 古神道に審神者(さには)といふ言葉があります。 これは帰神(かみがかり)のときに必要な存在でありまして、その始まりは竹内宿禰だと云はれてをります。 神霊を神主と呼ばれる依代(よりしろ)に降ろしてから、その神霊がいかなる存在であるのかを尋問するのが審神者(さには)の役割です。 これは帰神(かみがかり)をする上で必ずなくてはならない存在なのですが、世の中が「霊」と遠くなるにつれ忘れられがちな存在となってゐます。 昔の人は「霊」の存在を信じてゐたからこそ、いざ「霊」と対面しても、さらにその「霊」が何者であるかを詮索する余裕がありました。 今はありません。全否定するか、逆に全肯定するしか出来ません。 最初から「霊」といふものを信じてゐないので、いざ理解を超えるやうな霊物と対面すると全肯定して盲信してしまったりするのです。 おろかなことですね。 全否定する訳でもなく、全肯定する訳でもない。是々非々で対処する。 さういふ余裕があればダマされることも少ないでせう。 本書はその「サニハ」といふものについて、その由来の説明や、「サニハ」の精神たるものが帰神(かみがかり)以外の場面にも大いに活用できる思考法であるといふことを述べるものであります。 著者は古神道や神仙道の第一人者。 本書は霊学研究上必要なのは云ふまでもありませんが、哲学的な思索の手がかりとしても非常に有益な書といへませう。 全否定か全肯定、徹底した善か徹底した悪かの二者択一思考しか出来ないと、数年前のどこぞの誰れかみたいになって戦争しかない、といふことになってしまひます。 桑原々々。
(担当 山口ケン)
|
ご注意点
掲載の情報が販売情報の場合
- 掲載商品についてのお問い合わせは(指定がある場合は上記コメント内に記しておりますのでご確認ください)開店30分後からの受付となっております。各店の開店時間は、店舗情報にてご確認ください。
- 掲載の商品は店頭でも販売するため売り切れる場合がございます。
- 商品の探求は、専用の探求フォームをご利用ください。
掲載の情報が買取情報の場合
- 掲載の買取価格は商品状態、在庫によって予告なく変動します。