2009/7/22 21:00掲載
まんだらけ 中野店 4F 大予言

調べれば身に危険が及ぶ謎の組織「緑龍結社」


ケン・アンダーソン著 井村宏次解説 澤田憲秀訳 『ヒトラーとオカルト伝説』1997年 荒地出版社 \1575

なかなか信じ難いことですが、ある事件や出来事について深く調べると命の危険につながるといふことがあると云ひます。
いづれも都市伝説の類ひですから実際はわかりませんが、たとへば占領期中の怪事件として有名な「三鷹」「下山」「松川」三事件について丹念に調査したジャーナリストが行方知れずになったとかさういふハナシもあり、また近年の「ある事件」について追求しようとしてゐた人が、それに関係あるのかないのか分かりませんが不条理な理由により白昼刺殺されたりもしてゐます。

これは追求するとヤバイな、といふ事件の特徴としては(1)犯人がすぐに出頭すること、(2)その犯行理由が常識に照らして納得出来ないこと(つまり「そんな理由で殺人を犯すのか?」といふ疑問)、(3)にも関はらず早々に捜査打ち切りの上スピード判決で控訴もなされずスグに実刑になること、などが挙げれらませう。

今回紹介する「緑龍結社(または緑龍会)」と呼ばれる謎の組織も「調べると身に危険が及ぶ」と云はれてゐます。
これはナチスオカルティズムのキーパーソンと呼ばれる、カール・ハウスフォッファーが日本滞在中に京都で秘密裏に接触し入会したといふ秘密結社のことです。
識者によれば、それは密教系の秘密組織であったといふことですが、ハウスフォッファー関連のハナシでしか現れない組織で、日本では調べても該当するものがなく全くの謎となってをります。
一説では内田良平の「黒龍会」のことではないか、とも云はれてをりますが、個人的には違ふと思ひます。
黒龍会自体は全然密教的でもなく自由民権運動右派の流れにあるナショナリスト組織であってオカルティックな面はあんまり感じられないからです(ただし、トップの内田良平が大本の出口王仁三郎と昭和神聖会といふオカルト軍隊組織を作ったことはあった)。
また「龍」の字がつけば良いといふものではなく、そんなこと云ったら「蒼龍会」といふ政治結社もあるし、白龍、緋龍、金龍など「色+龍」の組み合はせは名称として珍しくありません。

今回紹介する書籍『ヒトラーとオカルト伝説』には、緑龍結社に入門する際には、意念で種子から芽を出させて数分で花を咲かせるといふテストが課された、とあります(239頁)。
西洋人であればこのやうな「入門テスト」がもっともらしく聞こえるのかも知れませんが(著者はオーストラリア人)、日本人で密教や東洋オカルトを一寸知ってゐれば、いかにもインチキ臭いエピソードだとスグにわかるハズです。
東洋神秘主義では、佇まいや、歩き方、或ひは跫音だけでその人物の価値を判断出来るのだから、こんなマジックのやうな芸当は不要で寧ろ忌避されるべきものです。
まるでアメリカ映画で面白ヲカシク取り上げられる「東洋の神秘」そのもののイメージですが、こんなのはフジヤマ・ゲイシャ・ハラキリの類ひであって、そんな奇術が入門テストとして課されたなんて真面目に云はれると、噴飯を禁じ得ません。

ぢゃァやっぱり「緑龍結社」は存在しなかったのか?とも思へますが、或る本にはそれにまつわる都市伝説的なエピソード(緑龍結社の資料を発見した研究者のハナシやその周辺に起きた怪事件)なども載ってをり、それから考へると全くの作り話とも思へないやうな…。
ちなみに現在その書籍は版元絶版で当店にも在庫なし。書名はあへて伏せさせてもらひますが、不悪(あしからず)ご容赦下さい。

といふことで調べると危険な「緑龍結社」ですが、元来は実際には調べようとしても資料があんまりないので身に危険が及びやうがない、といふ中途半端なテーマでした。
でも本書には典拠としての海外参考文献目録が巻末に付されてをりますので、語学力があればそこからある程度辿って行くことも可能かも知れません。
調べれば身に危険が及ぶといふ都市伝説の真偽を是非確かめたいといふ蛮勇溢れる御仁には、本書がその入口になるかもしれませんよ

(担当 山口ケン)

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