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ライトノベルでファンタジーと聞くと、バトルやラブコメを連想しますよね。
事実、そういった作品は流行でもあり数が多いので、そうなるのは必然です。
しかし、この環境下でバトルもラブコメもやらないファンタジーはひっそりと存在しています。

「人類は衰退しました」田中ロミオ／山崎透ガガガ文庫

成人ゲームのシナリオライターがラノベ業界に進出する流れは昔からあり、珍しいことではありません。
実際、成人ゲームには、エロが薄くシナリオを読ませるタイプのものが多くあるので、ラノベと近しい業界であるのは間違いありません。
このあたりが、ラノベの広い客層を作り出す要因になっているのかもしれませんが、それはさておき。
「人類は衰退しました」は、そのタイトル通り現在より数世紀後の世界を舞台として、人類の衰退後を描くファンタジーです。
地球の生物の主役は妖精さんになりました、という世界観だけでグッと引き込まれますね。
文章を読んでいるのに、何故か絵本を読んでいるような気分にさせられる作品でした。
ラノベとしては新しいが、文芸としては古い、というちょっと変わった印象。

妖精さん、体長10センチ。驚くと丸まります。

2008年、大学読書人大賞で5位に選ばれた今作。
田中ロミオ氏は2009年にも「AURA」で同賞4位を獲得しています。
この大学読書人大賞は、様々な大学の文芸サークルが投票して順位を決めるものなので、若者向けの面白い作品に票が集まる傾向があります。
一般層の男女問わずお勧めできるラノベというのはあまり多くないので、そういった意味でも貴重な作品だと思います。
レーベルで敬遠されがちな部分もありますが、そこでつまづいていてはもったいない！
是非一度、読んでみてください。

今回ご紹介した作品は、中野店3階本店2 店内にて販売中です。
ご興味を持たれた方は、是非お越しください。

(担当臼井)