2005/11/26掲載
まんだらけ新宮店

あべしの第102回「ちょっと観てよ聴いてよ!〜AVコーナーより愛をこめて〜」


「原作を大きく覆す」
これは大きな冒険であります。
原作のキャラクターを使っているだけで全然原作の意向を汲んでいないとか、前半は原作通りに進んでいても、途中で突如変な方向に話が向かっていったりとか。
とにかく、ほとんどの「原作と大きく違えた」作品がファンを怒らせる結果に終っていますよね。
皆さんも、好きな小説・漫画がアニメ化され、それを観た時にどこかで落胆したりとか納得いかなかったりしませんでしたか?
さて、今回ご紹介するDVDも、原作を遥かに覆したトンデモ作品でした。
というわけで、今年4月から1クール放映された双子萌えアニメ「フタコイ・オルタナティブ」のDVD第1巻が入荷致しました!

原作は、美少女ゲーム雑誌「月刊G'zマガジン」の読者参加ゲーム「双恋」。
5組の双子の中から、お気に入りの双子を選び、読者は双子とのまったりとした日常のイベントを、選択肢で双子にやってほしい行動を投票するというもの。
最も投票数の多かったアクション(選択肢)を、次号でイラストを交えた文章でミニドラマ化するというものでした。
全体的な雰囲気は、これま同誌で連載されていた「シスタープリンセス」や「ハッピーレッスン」と似たような感じでした。
次期に新たな年上の双子が追加され、ゲーム&アニメ化されましたが、内容は原作通りの展開でした。
そして、アニメ「双恋」が終ってから半年後に放映された「フタコイ・オルタナティブ」は、これまでの原作通りの展開を見事に覆してみせました。

まず、オープニング。
空から天使のような6組の双子が地上にゆっくりと降りていく。
イントロゆったりとした曲調で。
突如曲調が変わり、タイトルコール。炎が燃えるようなロゴで、「フタコイ・オルタナティブ」と。そこでちょっと驚く。
そして、空からスノボ装備の白鐘姉妹が雪山に降下!前方から雨あられのように浴びせられる銃撃を掻い潜り突撃する双子姉妹。
どこか某有名ロボットアニメシリーズの「フォートセバーン戦」を髣髴とさせます。
続いて雪山を舞台に日本刀で武装する年上の双子・桃衣姉妹。ヘリから暴走特急(?)に乗り移るお嬢様双子・桜月姉妹。
パラシュートで降下しながらライフルで銃撃戦を繰り広げる幼女双子・雛菊姉妹。
ライフルで応戦しながらカーチェイスするドジっ子双子・千草姉妹。
なぜかハンマーで大地を割る巫女双子・一条姉妹。
更に、対戦車ライフルで敵ジープを吹き飛ばす桜月姉妹とか、建設中のビルの中で銃撃戦を繰り広げる白鐘姉妹、カーチェイスの末爆発で崖に突っ込む千草姉妹などなど、サビに入るまでに熱い戦闘シーンが満載。
ロボットアニメですらここまで戦闘尽くしなオープニングは無いというのに。
そして、豆腐屋・玄さんの改造カブで空中を滑空する白鐘姉妹(無免)からサビに入り、さらに激戦が繰り広げられるオープニングアニメ。
有線ミサイルカーで撃たれまくるわ、マシンガン装備でヘリから降下するわ、しまいにはビル群の中でドッグファイトやら…
そして、締めは白鐘姉妹が爆発するビルの屋上から飛び降りて終わり…
原作は、先述の通り、双子の姉妹と甘い日常生活をまったり楽しむ内容でしたよ。
それが、こんな…
もうオープニングだけで度肝を抜かれること間違いなし。
しかも、作画もとてもハイクオリティーだし。
オープニングだけでこれだけ熱く語り尽くせますよ。

本編も、突如戦闘から始まり…って、本当に爆発が好きなアニメです。
輸送機の中で謎の怪獣と雛菊姉妹が戦っています。絡みついた触手には拳銃で、迫る触手には手榴弾、行く手を阻む隔壁はロケットで吹き飛ばし、空飛ぶ輸送機から脱出!
そして、二人同時にパラシュート展開!パラシュートには、「第一話コロッケとヘリと」「地下ボクシングと私」という文字が。
そう、サブタイトルです。こういう演出もなかなか粋じゃありませんか。
日が変わって、場所は日本の「双子魂川」。双子が多いからそんな地名なのか、この地名が双子を生むのか、どちらでもいいが、そんな場所が舞台。
オープニングに顔ひとつ見せない私立探偵の主人公・双葉恋太郎は何故か暴力団・桜月組の屋敷で凄みを効かせた大勢のヤクザに囲まれていた。
そして、隻腕の桜月組長が恋太郎の親父との昔話を始める。「格の違いを考えれば、命だって取れたはずだ。腕一本…これでヤクザもんの面子も立ててくれた」と。
BGMのせいもあってか、一気に雰囲気は仁侠映画に。いや、このシーンは間違いなく仁侠映画だ!
ことの発端は、恋太郎が組長から預かっていたペットのインコを、恋太郎の猫が食ってしまったから。
一方、双葉探偵事務所の助手一号・白鐘沙羅は、外国マフィアから追われる怪しい中国人・金を匿うことを請け負う。
「よし、請け負った!義理と人情、実費と信用、浮気に粗行に揉め事諸々…
双葉探偵事務所に任せなさい!」とウインクで決める沙羅。
原作では無表情で無愛想だったはずの彼女が、やたら明るく、破天荒なキャラに変貌しています。
事務所に爆弾をセットする際のブツブツ独り言や、破天荒な性格、原付で暴走する(ちなみに無免)姿が「フ●クリ」のハ●子を彷彿とさせます。
そして、マフィアもろとも事務所爆破!!また爆破ですよ、しかも商店街のド真ん中で。
そして、恋太郎は、インコのオトシマエとして、地下ボクシングのリングに上げられてしまう。
見かけはギャンブルの形をとっているが、実は客を喜ばすために、マッチョで弱い者を弄り殺す「残酷ショー」だった!!
オトシマエをつけさせるも流石に可哀想に思った組長は、恋太郎に攻略法を教える。
それは、マッチョボクサーに対し中指を立てること。
そうすれば、弄られずに一発で殺されるのだそうだ。
そして、地下のリングでゴングは鳴り、沙羅はマフィアの戦闘ヘリに追われ、沙羅の双子の姉妹・双樹はコロッケを作っていた…

美少女だらけの原作とは異なり、男どもがやたら濃いのが集まっているのも特徴的。
とくに面白いのは、双子魂川派出所の巡査・針山(別名:ダーティーハリー)。パトカーを違法改造し「スピナー」と命名。拳銃でヘリを撃墜したかと思えば、ヤクザの若頭とマフィアの幹部との三つ巴の際にも拳銃2丁で、「てめぇら、大人しく俺に捕まってりゃいいんだよ、国家権力なめんなよ!!」と、3時間も戦った猛者です。

萌えあり燃えありと、とにかく型破りなアニメで今年の前期でもイチオシのアニメです。
原作をまったく知らない方も是非ご覧になってください。

DVDプレイヤーのだけでなく、プレイステーションポータブルでも視聴可能なUMDソフトも初回特典として付属しています。
これでどこでもダーティーハリーの暴走が堪能できますよ(笑)


(担当 阿部)

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