まんだらけ中野店 3F 本店2 リストラ漫画はここまでカオス「君たちに明日はない」出します

今回紹介するのは、実業之日本社のマンサンコミックから出た「君たちに明日はない」です。
漫画サンデーで連載されたこの作品は、帯に書いてある通り小説が原作なのですが、そこは唇にパンクやノンフィクション漫画で著名な笠原倫先生。
世に量産されては消えていったただの世情反映漫画にはとどまらない恐ろしげなウマ味と渋さが凝縮されたイカス作品になっております。

やはりこの作品の一番の魅力といえば、その濃ゆすぎる描写と、度々挿入されるナレーション。
そしてそれに裏打ちされたくどいまでに人間味溢れたキャラクターといえるでしょう。
過去に自分もリストラ過去を持つリストラ請負会社の社員の主人公は、他人の職を奪うという職業に時には悩み、苦しみ、時には熟女の肉体に翻弄されたりと、非常に人間臭くて魅力的です。
他にも様々な個性をもったリストラ対象者もなかなかの曲者ぞろい。
トイレで歯を磨くヒロイン（熟女）など、妙にリアルでくど過ぎる描写。
これこそが笠原節ともいえる強烈な味になっているのです。

コレでもヒロインです

リストラがテーマのストーリーは、ドライであったり人情話であったりと緩急が激しく飽きさせません。
主人公のリストラ交渉時の心理描写にいたってはもはやリストラの名を借りた精神スタンドバトル状態。
またリストラ云々だけでなく、テーマと全然関係ないキャラの描写も異様に面白かったりするあたりも、人情話にカオス描写を丹念に練りこみ編み上げた職人芸が怪しく光り輝きます。

年輪相手に夢精自慢。これぞ笠原倫これだから笠原倫

そんなカオスを楽しめるおもしろ漫画スピリッツに溢れた勇者の方にも断然おすすめの怪作「俺たちに明日はない」1，2巻両方とも中野店の本店2ショーケースにて販売中です。
リストラとは無縁の方でも興味のある人はぜひ手に取ってください。本棚にさしておけば皆に心配される事うけあいです。

(担当黒田)