虚空蔵55様、みわ様
いつもご指導頂き誠にありがとうございます。
また、この度は大変お忙しいところメールの解読をして頂き、誠にありがとうございます。
ご質問を頂いた箇所でございますが、こちらは特に自然数の逆数の和である必要はないと感じております。
従いまして、例として挙げる場合は普通の自然数の和
1+2+3+…
でも良いと思っております。身も蓋もない回答となってしまい、また分かり難い例を挙げてしまい、大変失礼致しました。
以上が真相でございますが、一応逆数の和を選んだ理由を当時の記憶から引っ張り出してきますと、以下の様な考えが当時の私にはあったような気がしております。
@「無限大に発散する」例を1つ挙げたいが、あまり当たり前の(見てすぐ分かる)例ではなくて、一見すると発散していなさそうな(意外な)例を挙げた方が面白いかもしれない。
Aそして、そのような例としてすぐ浮かんだものが自然数の逆数の和でありました。
Bこれは後付けですが、自然数の逆数の和とは、以前宇宙全史のbbsにて掲載して頂いておりましたリーマンのゼータ関数の特別な場合になっております。
リーマンのゼータ関数とは、ζ(s)と表される関数でありまして、その形は、
ζ(s)=1/1^s+1/2^s+1/3^s+…
と表される無限級数であります(1^s、2^s、3^s などはそれぞれ1のs乗、2のs乗、3のs乗を表わしております)。
自然数の逆数の和である 1/1+1/2+1/3+… は、リーマンのゼータ関数でs=1としたものになります。
いつか次元の話からリーマンのゼータ関数に繋がるような理論になれば良いなという願望から、自然数の逆数の和を例として採用させて頂いたという思惑もあったような気がしております。
Cリーマンのゼータ関数と次元(ハウスドルフ次元)のどこらへんが関係するように思えたかと言いますと、次のような点でございます。
ただ今解読して頂いているメールのもう少し先の部分、或いは左のNo.432にて、ある図形Xのs次元ハウスドルフ測度について説明をさせて頂きました。その中ではまず、図形Xを直径がδ以下の球
B1, B2, B3, …
で覆い(球 B1, B2, B3, … の直径をδ1, δ2, δ3, …とします)、これらの球の直径のs乗の和
δ1^s+δ2^s+δ3^s+…
を考察する場面があったと記憶しております。この部分が丁度リーマンのゼータ関数
1/1^s+1/2^s+1/3^s+…
と似ているように思われたということがありました。
1/1^s, 1/2^s, 1/3^s, …
というのは少し書き換えますと、
(1/1)^s, (1/2)^s, (1/3)^s, …
となりますので、あたかもある図形Xを直径が 1/1, 1/2, 1/3, … の球で覆った上でs次元ハウスドルフ測度を考えているような感じがしたということがありました。
(ただし、この考察はハウスドルフ測度の考え方とは相性が良くなかったため、後に撤回することとなりました)
そしてその名残から、自然数の逆数の和が例として採用されたのではないか、と当時の心境を慮っております。
D余談ですが、虚空蔵55様が仰っておられました自然数の和
1+2+3+…
というのは、実はリーマンのゼータ関数でs=-1とした場合に相当しております。そして、数学者オイラーは、この一見すると明らかに発散してしまう無限級数の値が、実は-1/12になると考えることが出来る、つまり、
1+2+3+…=-1/12
という等式を280年ほど前に書き残しているそうです。そしてこの等式は現在に至るまで数学・物理学に大きな影響を与えているとのことです。
(よくは分かりませんが、物理学における弦理論などでこのような等式が度々現れているようです)
最後に余計なことになるかもしれませんが、一応自然数の逆数の和
1/1+1/2+1/3+…
が発散することの簡単な説明をさせて頂きます。
まずこの自然数の逆数の和をもう少し先まで書かせて頂きますと、
1/1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6+1/7+1/8+1/9+1/10+1/11+1/12+1/13+1/14+1/15+1/16+… (1)
となっております。ここで、無限級数(1)において、初めの 1/1, 1/2 はこのままでいいのですが、
1/3+1/4 という部分を 1/4+1/4 に
1/5+1/6+1/7+1/8 という部分を 1/8+1/8+1/8+1/8 に
1/9+1/10+1/11+1/12+1/13+1/14+1/15+1/16 という部分を 1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16 に
変えてみます;
1/1+1/2+1/4+1/4+1/8+1/8+1/8+1/8+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+… (2)
すると、
1/3+1/4 よりも 1/4+1/4 の方が小さく、
1/5+1/6+1/7+1/8 よりも 1/8+1/8+1/8+1/8 の方が小さく、
1/9+1/10+1/11+1/12+1/13+1/14+1/15+1/16 よりも 1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16 の方が小さく
なっておりますので、無限級数(2)は元の無限級数(1)よりも小さくなっています;
(1) > (2)
また、
1/4+1/4=2/4=1/2 かつ
1/8+1/8+1/8+1/8=4/8=1/2 かつ
1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16+1/16=8/16=1/2
となっておりますので、結局
(1) > 1/1+1/2+1/2+1/2+1/2+…
となっております。そして以下この操作を繰り返していくと、最終的には
(1) > 1/1+1/2+1/2+1/2+1/2+…
という式が得られます(先程の式と同じに見えますが、右側にはずっと 1/2 が並び続けています)。この式の右側にある
1/1+1/2+1/2+1/2+1/2+…
という部分は 1/2 という数を際限なく足し続けていきますので、いくらでも大きな数になっていきます。
従いまして、結局自然数の逆数の和である無限級数(1)もいくらでも大きくなっていきますので、無限大に発散することが証明されたという結論になります。
以上がNo.458にて虚空蔵55様から頂いたご質問に対する私の精一杯の回答となります。
私自身の力不足から、ご質問に対する回答としましては不十分なものであると自覚しておりますが、何卒よろしくお願い致します。
この度はお時間・エネルギーを割いて頂き誠にありがとうございます。
この先もご指導を賜れますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
祈りと共に待つことを学んでいきたいと思います。
2020・9・10
スーザン様
丁寧な返信ありがとうございます。
後半はよく理解出来ませんでしたが、私の質問のお答えは理解致しました。
何度も申し上げますが、現状(以前からですが)演算能力と記憶力が激減していまして、あまり考えると気持ち悪くなってしまうという信じられない有様です。
ちょっと前に「本格的に納得できる漫画作品を描く」と決めてから、様々なアーティスト(の魂)が私のもとに参集して来ています。
もちろん彼らに優れた演算能力があるわけがなく(稀にいますが、今ここにはいません)、私の脳の記憶と演算指数は増々レベルダウンして来ています。
この後もがんばって何とかスーザンさんの質問をクリアしようとは思いますが、最悪今回は断念してしまうかも知れません。
それでもいつかはちゃんとお答えしますので、そうなっても待ち続けて下さい。
スーザンさんへの質問A
P11より
「まず、(1)の和が何を意味しているのかを考えてみます。
(1)では、小さな球の直径の長さの2乗を考えています。これは、それぞれの小球をピッタリと含む立方体を考え、その立方体の底面の正方形の面積を計算していることになります(透明なプラスチックの箱の中に、大きさがぴったりとはまる球が入っているようなイメージです)。
(1)の和は、すべての小さな球に対してこのような正方形の面積を考えて、それらを足し上げていくということを意味しております」
●それで直径の二乗だったんですね。
そこは分かりましたが、そもそも初めから正方形の平面で覆うといえばいいのに、なぜδ(デルタ)以下の球で覆うとしたのかが分かりません。
よろしくお願いします。
虚空蔵55