次々に漫画を買って読んでという日々を繰り返していると、消費されるそれらが至極当然な娯楽と化し、新しいお菓子の袋を開けて食べるような行為に似てきたりします。具体的にいうと読む前と後に「いただきます」と「ごちそうさま」って口走ってることがよくあります。え?ない?あるでしょ。
別にそれ自体は良いのですが、たまに本当に面白い作品に行き当たった時には、じっと黙って襟元を正すような気分で向かい合います。
今自分が読んでるものだと残り3巻になった『機動警察パトレイバー』がそうです。
こんなとき、漫画は「食べる」んじゃなく「読む」行為の対象に立ち返り、時間を忘れてひたすらページを繰る存在になります。
誰かにとってのそんな作品を描く作家になるため、沢山の人が登竜門として挑戦するのが講談社月刊アフターヌーンの四季賞=B
この受賞作をまとめて読めるのがこちら「四季賞PORTABLE」です。
主催の月刊アフターヌーンに年4回ついてくる、いわゆる付録小冊子ですね。
大きさはB6サイズで紙質は廉価本(コンビニ本)並の簡素な作り。
厚さは受賞作品によってまちまちで、極薄の号もあれば、170ページ越えの大賞が出ちゃえば極厚。投稿ページ数に上限がない四季賞らしい体裁です。
これがあったのは2005年冬から2012年冬までの7年間で、通算29冊でした。
その後の受賞作は本誌または増刊への掲載で賄われています。
正直これだいぶ前に自分が同じネタでトピックス書いてるので、補完としてどうぞ。
ちなみに、創刊すぐの1987年〜2000年までの四季賞作品を有名作家のみ選り抜きでまとめた『四季賞CHRONICLE』(箱付で05年に受注生産)は、現在電子書籍で買えるので興味ある方はそちらへ。まぁうちにもありますけど。箱入りの方でよろしければな。
ともあれこの小冊子シリーズが無くなっちゃったのはかなり惜しいもので、一番の理由はやはり、ある作家と作品の「瞬間風速を観測し・切り取り続ける」というその役目にあった気がします。そりゃ1冊ごとに作品の好き嫌いやクオリティの差はありますし、中にはよくわかんねぇなってやつもありますよ。
まぁ、あります。けれどここに収録されている作品は間違いなく応募総数約200本を勝ち抜いた面々であり、その時の最大瞬間風速が記録されたものだといえます。
ポータブル収録の作家としては「宝石の国」市川春子、「三文未来の家庭訪問」庄司創、「亜人」桜井画門などがおり、突拍子もなく受賞者に躍り出てきて度肝抜きまくっててへぺろな時期でもありました。つか画像左の2005年冬に大賞取ってるのは今「アリスと蔵六」描いてる今井哲也ですしおすし。このほか、今BLでガンガン飛ばしてる作家の初期作がどこかの号に混ざってたりもします。こんな感じで調べればいくらでも出てくるパンドラでもあるのです。無論、ここから始まった人もこれっきりだった人も一緒くた。
でも漫画ってそれでいいんじゃないかと。商業連載云々関係なく、面白いと思われた一作がここにあれば十分じゃねぇのなんて思います。
四季賞のスケジュールは大体1・4・7・10月という年4回の締切から選考、5か月後の発表と翌月の冊子発行がデフォでした。
賞を目指す者にとってはペースメーカーでありプレッシャーであり、読む者にとってはマンガの最前線の一端を知る機会。なかなか稀有な本であったことでしょう。
なんかこう、これに関してはせめてもの敬意を払おうと思ったので、ポータブルに収録された作品と作家のデータをまとめてみました。wiki見りゃ済むんですけど、この記事が…あれだ…いつか何かの役に立ったり立たなかったり…したらいいね…。
訥々と並べた作品名と作家名が、噺と落語家、芝居と劇団、映画と監督のようでもあってちょっとカッコイイなんて思うのは私だけでいいやもう。
他の漫画賞のことはよく分かりませんが、四季賞をもらう作品から感じるのは至極単純な、「漫画という手段」の威力でしょう。
作品のテイストを問わずに表現のツールとして、どっか愚直で冗談通じない、だからこそあぶり出されてくる孤高の迫力みたいなもんです。……うーん…なに言ってんだろな…。全然わかんねぇな…。
あっ今回、+αあるんですよ。同じくアフターヌーン雑誌付録の小冊子2冊。
「創刊20周年記念完全保存版 オールスターサイン色紙BOOK」(2007年2月号付録)
アフターヌーンにゆかりのある作家64名+原作者4名によるお祝い寄稿冊子。イラスト色紙、コメント、作者略歴、新連載当時の作者コメントが1人1ページで収録されています。
この新連載時のコメントが読んでてなかなかオツなのと、色紙イラストの雰囲気に合わせて配置が凝られているのも分かる1冊。作家陣がそもそもトンデモ豪華。
「アフターヌーン大事典 1987-2012」(2012年3月号付録)【※画像の通り、現物は全体にスレ有】
(1)1987年2月号〜2012年2月号までの、各号表紙・掲載作・作者名・号数を網羅したデータ集。1ページ1年分。
(2)1987年春〜2011年冬までの、四季賞受賞者をまとめたデータ集。四季大賞・審査員特別賞・四季賞・準入選・佳作の5種類で、2011年冬のコンテストで通算100回。応募総数の最多は94年夏の266本、最少でも11年冬の135本。データを見る限り、四季大賞は常に1名、特別賞と四季賞はたまに2名、準入選と佳作は複数名選出されるのが常のようです。
小さく薄いモノクロ本ながら、情報量と質からしてもアーカイブとしてかなり貴重な一冊。
はい、私からは以上です。
2015年一発目の給料日直後の土日に、確信犯的に滑り込みます。
四季賞PORTABLE全29冊フルセット+付録小冊子2冊、すべてまとめてどうぞ。
最後に結論を言うと、これヤベーよ。
※この商品は1月31日(土)より、中野本店IIショーケースにてお出しします。事前のお取り置き等はできませんのでご了承ください。
別にそれ自体は良いのですが、たまに本当に面白い作品に行き当たった時には、じっと黙って襟元を正すような気分で向かい合います。
今自分が読んでるものだと残り3巻になった『機動警察パトレイバー』がそうです。
こんなとき、漫画は「食べる」んじゃなく「読む」行為の対象に立ち返り、時間を忘れてひたすらページを繰る存在になります。
誰かにとってのそんな作品を描く作家になるため、沢山の人が登竜門として挑戦するのが講談社月刊アフターヌーンの四季賞=B
この受賞作をまとめて読めるのがこちら「四季賞PORTABLE」です。
主催の月刊アフターヌーンに年4回ついてくる、いわゆる付録小冊子ですね。
大きさはB6サイズで紙質は廉価本(コンビニ本)並の簡素な作り。
厚さは受賞作品によってまちまちで、極薄の号もあれば、170ページ越えの大賞が出ちゃえば極厚。投稿ページ数に上限がない四季賞らしい体裁です。
これがあったのは2005年冬から2012年冬までの7年間で、通算29冊でした。
その後の受賞作は本誌または増刊への掲載で賄われています。
正直これだいぶ前に自分が同じネタでトピックス書いてるので、補完としてどうぞ。
ちなみに、創刊すぐの1987年〜2000年までの四季賞作品を有名作家のみ選り抜きでまとめた『四季賞CHRONICLE』(箱付で05年に受注生産)は、現在電子書籍で買えるので興味ある方はそちらへ。まぁうちにもありますけど。箱入りの方でよろしければな。
ともあれこの小冊子シリーズが無くなっちゃったのはかなり惜しいもので、一番の理由はやはり、ある作家と作品の「瞬間風速を観測し・切り取り続ける」というその役目にあった気がします。そりゃ1冊ごとに作品の好き嫌いやクオリティの差はありますし、中にはよくわかんねぇなってやつもありますよ。
まぁ、あります。けれどここに収録されている作品は間違いなく応募総数約200本を勝ち抜いた面々であり、その時の最大瞬間風速が記録されたものだといえます。
ポータブル収録の作家としては「宝石の国」市川春子、「三文未来の家庭訪問」庄司創、「亜人」桜井画門などがおり、突拍子もなく受賞者に躍り出てきて度肝抜きまくっててへぺろな時期でもありました。つか画像左の2005年冬に大賞取ってるのは今「アリスと蔵六」描いてる今井哲也ですしおすし。このほか、今BLでガンガン飛ばしてる作家の初期作がどこかの号に混ざってたりもします。こんな感じで調べればいくらでも出てくるパンドラでもあるのです。無論、ここから始まった人もこれっきりだった人も一緒くた。
でも漫画ってそれでいいんじゃないかと。商業連載云々関係なく、面白いと思われた一作がここにあれば十分じゃねぇのなんて思います。
四季賞のスケジュールは大体1・4・7・10月という年4回の締切から選考、5か月後の発表と翌月の冊子発行がデフォでした。
賞を目指す者にとってはペースメーカーでありプレッシャーであり、読む者にとってはマンガの最前線の一端を知る機会。なかなか稀有な本であったことでしょう。
なんかこう、これに関してはせめてもの敬意を払おうと思ったので、ポータブルに収録された作品と作家のデータをまとめてみました。wiki見りゃ済むんですけど、この記事が…あれだ…いつか何かの役に立ったり立たなかったり…したらいいね…。
訥々と並べた作品名と作家名が、噺と落語家、芝居と劇団、映画と監督のようでもあってちょっとカッコイイなんて思うのは私だけでいいやもう。
vol. | 号 | 四季大賞 | 審査員特別賞 | 四季賞 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2005 冬 | トラベラー | 今井哲也 | 女王の傷 | (作画)篠崎司/(原作)秋野めぐる | SADOMARU-サドマル- | 山下貴仁 |
2 | 2006 春 | メトロポリタンミュージアム | 兼子義行 | 喰らう怪物 | 兵庫しんじ | CURE | 前邑恭之介 |
3 | 2006 夏 | 虫と歌 | 市川春子 | My name is… | 芝孝次 | 鵬の眠る城 | 金田沙織 |
呪縛 | 植木勝満 | ||||||
4 | 2006 秋 | 死神 | 臼井仁志 | その心臓を動かすものは、 | 左右 | 道のうえ | 大岡智子 |
5 | 2006 冬 | ムスコはオヤジ | 天野聡彦 | ある日、ウンコマンと俺ら | 円城寺真己 | 6時の男 | さだやすあゆみ |
6 | 2007 春 | 東日人民よ! | 山口甚八 | 黄色い家 | 新田章 | 囚われクローン | 太田モアレ |
7 | 2007 夏 | キレもん | 銅☆萬福 | 赤子 | 及川由美 | あの星のかけら | 芝孝次 |
8 | 2007 秋 | 魔女が飛んだり飛ばなかったり | 太田モアレ | 星のやうにさよなら | 志ろう | 日々うつろい | 谷藤満 |
おとめノート | 永田ゆき | ||||||
9 | 2007 冬 | 道/海へ来る理由 | 和田依子 | 父がカツラを買ってきた | 高辺祐太 | ゲットーの太陽 | ナカモトユキ |
WOKING ROBOTA | 野村亮馬 | ||||||
10 | 2008 春 | 帰っておいで | 伊咲ウタ | 糠床何処どかぬ | ほぎめ庭 | アジサイ | 浅沼悠 |
11 | 2008 夏 | 夢 | 平松歓之介 | モンタナレコード2号店絶賛営業中 | 佐田茂輝 | クシナダの嫁入り | 文月悠 |
12 | 2008 秋 | 三文未来の家庭訪問 | 庄司創 | 夏の終わりの逃避行 | 安倍玲子 | 星の国 | 加納梨衣 |
13 | 2008 冬 | 亜空耳 | 桜井画門 | 監視員 | 竹内ていじ | ヨブケモノ(喚獣) | 小林嵩人 |
14 | 2009 春 | NO MAN IS AN ISLAND | 丹羽麻里子 | ドッヂ | 田川ミ | 害虫駆除局 | 田中雄一 |
15 | 2009 夏 | チェコ | 鴻巣世紀 | 賃貸一軒家 | 加納梨衣 | starry | 中村二基 |
16 | 2009 秋 | すみれの唄 | 十野七 | SOLA | はみがき男 | プラティカル・ジョーカー | 館石直進 |
17 | 2009 冬 | ライオン | 園田ゆり | 世界のどこかで100m走 | タヤマ碧 | ちっぽけで素晴らしき日々 | 長谷川和志 |
除夜のユキ | 石原雄 | ||||||
18 | 2010 春 | 不死身の花音ちゃん | 曹子 | 屋上友達 | 松本藍 | ヒーローの娘 | 雨松 |
19 | 2010 夏 | ヤングイコン | 篠宮ツキ | ライカライカ -LIKE A LAIKA- | 山崎廉 | 宇宙の恋人 | 藤嶋マル |
20 | 2010 秋 | 平成デカダンス | みやざき 明日香 | コケノシマ | 撫ヶ田薺 | ONE HAND SHOOT | 秀河憲伸 |
21 | 2010 冬 | 二人の記憶 | みやあやた | オアシス論/日陰の氷 | 山下竜一 | 異国息子 | 星すばる |
22 | 2011 春 | アオムシス | Lea | 面を打て! | 田沢ユタカ | おから | イシダナオキ |
23 | 2011 夏 | ZNTV東京支局 | 井上文月 | FOUR SEASONS | 友沢マサオ | アーチャーズ・カルテット | 白川蟻ん |
24 | 2011 秋 | やまもとでんき | 武内香菜 | 絶交 | 岩見樹代子 | ライツ カメラ アクション | 栗本竜磨 |
25 | 2011 冬 | ただいま!春機発動期!! | 鍋倉純樹 | たかえさん | 中世千尋 | 乗る男 | 花輪園人 |
26 | 2012 春 | 千代のくちびる | 岩見樹代子 | 夜に彩雲 | 佑来那津 | 宇宙のハルモニア | 須藤由華 |
27 | 2012 夏 | パライゾ | 土屋真帆 | 宇宙のかたすみの物体X コマメ編ミツコ編 | 蘇芳浅海 | えろほんさん | 飯島しんごう |
28 | 2012 秋 | 思春期シンドローム | 赤星トモ | 彼女の鉄拳 | 恵三朗 | 解体ザナフ | 丈山雄為 |
29 | 2012 冬 | 勉強ロック | 山田胡瓜 | 金奪撫子 | 譲 | ステ公のはじまりの旅 | 土橋田アキラ |
作品のテイストを問わずに表現のツールとして、どっか愚直で冗談通じない、だからこそあぶり出されてくる孤高の迫力みたいなもんです。……うーん…なに言ってんだろな…。全然わかんねぇな…。
あっ今回、+αあるんですよ。同じくアフターヌーン雑誌付録の小冊子2冊。
「創刊20周年記念完全保存版 オールスターサイン色紙BOOK」(2007年2月号付録)
アフターヌーンにゆかりのある作家64名+原作者4名によるお祝い寄稿冊子。イラスト色紙、コメント、作者略歴、新連載当時の作者コメントが1人1ページで収録されています。
この新連載時のコメントが読んでてなかなかオツなのと、色紙イラストの雰囲気に合わせて配置が凝られているのも分かる1冊。作家陣がそもそもトンデモ豪華。
「アフターヌーン大事典 1987-2012」(2012年3月号付録)【※画像の通り、現物は全体にスレ有】
(1)1987年2月号〜2012年2月号までの、各号表紙・掲載作・作者名・号数を網羅したデータ集。1ページ1年分。
(2)1987年春〜2011年冬までの、四季賞受賞者をまとめたデータ集。四季大賞・審査員特別賞・四季賞・準入選・佳作の5種類で、2011年冬のコンテストで通算100回。応募総数の最多は94年夏の266本、最少でも11年冬の135本。データを見る限り、四季大賞は常に1名、特別賞と四季賞はたまに2名、準入選と佳作は複数名選出されるのが常のようです。
小さく薄いモノクロ本ながら、情報量と質からしてもアーカイブとしてかなり貴重な一冊。
はい、私からは以上です。
2015年一発目の給料日直後の土日に、確信犯的に滑り込みます。
四季賞PORTABLE全29冊フルセット+付録小冊子2冊、すべてまとめてどうぞ。
最後に結論を言うと、これヤベーよ。
※この商品は1月31日(土)より、中野本店IIショーケースにてお出しします。事前のお取り置き等はできませんのでご了承ください。
(担当 白石)
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