【まんだらけトピックス】本・まんが・コミック・TOY・同人誌の専門店

今回は
タッチ DVDコレクション全3巻セット
をご紹介します。

いまさらご紹介するまでもなく「タッチ」原作はトータルで一億冊以上売れ、アニメも最高視聴率31.9％を記録した、
いわば国民的作品なわけで、いまさら担当がどうこう言うまでもない人気と知名度がすでにある作品です。
また、ちょっと詳しいこと・ディープなことが知りたければネットを散見するか、マンガ評論の本をいくつか見れば
十二分に見識に富んだ内容の文章があふれています。
ですが、アニメやマンガについてこれまでそれほど深く考えてみたことはなかった、というような方がもしいれば、
そういったものについて考えはじめるものとしては格好の”テキスト”だと思います。

まず原作から見れば、作者・あだち充先生は連載開始当初すでにキャリア12年目の中堅。「タッチ」の大ヒットの余波で、
それ以前のあだち作品は語られることも少ないのですが、「ナイン」「陽あたり良好！」「みゆき」などがすでに連載されており、いずれも一定のヒットをしています。この辺の当時の空気は島本和彦先生の「アオイホノオ」を読まれるとより詳しくわかると思います。
現在の漫画家の方に無理やり当てはめるなら、矢吹健太朗先生が一番近いかもしれません。『すでにヒット作を飛ばしている、ちょっとエッチで明るいラブコメを描く作家』という意味で。

というわけで「タッチ」は週刊少年サンデーで連載が開始されます。そして、巷間広く知られているあのキャラクターの「死」ですが、彼はある日突然死んだわけではなく、読者としては連載開始から1年半慣れ親しんだ『あだちラブコメの主要キャラクターの一人』として死んでしまいました。担当はギリギリリアルタイムで読んでいましたが、幼くてあまり理解できませんでした。
この展開はあだち先生にとって、『ちょっとエッチで明るいラブコメを描く作家』という作家性を使った一種の叙述トリックのようなものであったと思います。当然何度も使えるものではなく、まさに一世一代の賭けです。

この賭けに勝った「タッチ」は人気作品になり、アニメ化。時代も桑田・清原のKKコンビに代表される「高校野球人気」があり後押しします。ニュースコーナーで部活のマネジャーを紹介する「南ちゃんを探せ！」などまさにブームといっていい情勢でした。

より詳しい作品性（スポ根に止めを刺した作品であるとか、上杉達也の主人公としての特異さとか、テーマの多重性だとか）について知りたい方は、漫画アニメ評論の本を手にとって見ると、おそらく大半の本にはタッチのことが載っていると思います。
まだちょっと敷居が高い、というか語るように思われていないアニメや漫画について考えるきっかけになりやすい「タッチ」、コンテンツとしてはアニメを見たことがない方でも深く楽しめると思います。

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(担当有冨)