【まんだらけトピックス】本・まんが・コミック・TOY・同人誌の専門店

1959年の毎日放送で大阪を中心に視聴率82％というモンスター番組「番頭はんと丁稚どん」や昼ドラでも最高視聴率をマークした「あかんたれ」など大阪の商人を主人公とした商魂物の脚本を数多く手がけた花登筺原作。
ご本人も日本三大商品といわれる近江商人の家に生まれたゆえに作品にリアルが反映されるのも納得です。
そんな彼とタッグを組んだのは野球漫画の第一人者、水島新司。
彼も高校進学を経済状況から断念した「銭」にまつわるエピソードをもつ貧乏時代を味わったひとりでした。
「銭」に対してひたむきで真剣な二人がコラボしたからこそこの作品が一層、読者に与えるダメージは相当なもの。

裕福な家庭に生まれ何不自由なく育った少年はある出来事から一転、乞食同然の生活をするはめに。
途方にくれた先に出会った銭神とよばれる運命の男に銭術を教わり物貰い、靴磨き、果てはカブトムシを森で採ってきて子供に売りさばくなど様々な商売に手をだしていきます。
その利益が10円、20円といった世界ですがその銭の重さが苦しくなるほど伝わってきます。
最終的にはとてつもない大金を手にするのですがそれも右から左へのあぶく銭と化します。
悲惨な主人公の身の上話にかなり欝はいりますが「銭の本質とは何か？」それを一貫して物語の本筋に捉えブレないところに花登筺・水島新司二人の銭に対する凄味と執着を感じられずにはいられない一作です。

(担当松原)