2010/8/13 21:00掲載
まんだらけ 中野店 2F 活動写真館

2F 活動写真館「8月15日・戦争映画特集・其の三 松林宗恵 監督作品」

松林宗恵監督は多くの優れた「戦争映画」を世に送り出しました。一般的に代表作は「社長シリーズ」と言う事になっていますが、
私的にはやはり「戦争映画」の監督なのです。松林監督は元海軍少尉で僧侶と言う異色の経歴をもち、それが作品に反映されているのが特色です。
海軍に対する愛情と同時に実際に経験した戦争の悲惨さを、“無常観”として表現し続けました。





「戦艦大和」小型パンフレット
監督は阿倍豊ですが、応援監督として参加しています。戦艦大和の生き残り、吉田満・著「戦艦大和の最後」の映画化です。




「人間魚雷 回天」小型パンフレット
回天特別攻撃隊長、津村敏行の手記を元に映画化した作品。





「潜水艦イー57降伏せず」東宝写真ニュース
日本映画唯一と言っていい本格潜水艦映画。(樋口監督は「ローレライ」で本作を意識して作ったと言ってます。)
戦争末期、秘密裏に日本に有利な講和を結ぶべく、某国外交官父娘を中立国のスペイン領カナリー諸島まで輸送する任務を描く。
ユーモアたっぷりで娯楽色が強い作品ですが、ラスト主人公たちの矛盾に満ちた行動こそ監督の描きたかった事ではないでしょうか?




「ハワイ・ミッドウエイ大海空戦 太平洋の嵐」パンフレット
東宝特撮戦争映画を代表する作品で、円谷英二の特撮が冴えわたる!
真珠湾攻撃からミッドウエイでの敗戦までを北見中尉(夏木陽介)の視点で描いた作品で、ミッドウエイ作戦をここまで細かく描いた映画は本作のみです。(日本側からの意味で)
前半は連戦連勝なので主人公達は意気揚々でかなり勇ましい発言をしていますが、後半は戦争の理不尽さを知り最後はニヒリズム漂う非常な終わり方をしています。この前半と後半のギャップこそが本作の最大の魅力でしょう。三船敏郎が山口多聞を好演。




「太平洋の翼」スピードポスター、プレス、スタジオメール セット
戦争末期、新鋭戦闘機「紫電改」の活躍を描いた本作。前線に散った搭乗員達が戦火を掻い潜り松山基地に集結する前半はアクション映画的のようです。選りすぐりの搭乗員は、加山雄三、佐藤允、夏木陽介と東宝特撮戦争映画の常連達、そして指揮するはもちろん三船敏郎の千田航空参謀(モデルは源田実)
生きて戦う事を信条にしながらも最後には体当たりしてしまう滝大尉(加山)の行動は松林監督ならではの無常観が漂っています。
製作時、上層部から空戦シーンを「もっとハデに!」と注文を付けられた監督は「ミニチュアの飛行機にも人は乗っているんだ!」と激怒。また上映館前で軍艦マーチをガンガン鳴らしているのを見て「死んでいった戦友に申し訳ない」と思い、本作以降「連合艦隊」までの18年間戦争映画の製作を拒み続けるのでした。




「連合艦隊」パンフレット
東宝特撮戦争映画の集大成として製作され、松林監督としても「最後の戦争映画」で“遺書のつもり”で挑んだ作品。海軍の太平洋戦争の全貌を一気に見せるため、前半の開戦から山本長官の戦死まではかなり駆け足で淡々と進みます。(ここまでは東宝も過去に映画化していますので)後半は本作最大の売りの「レイテ」と「大和撃沈」。特に「レイテ作戦」は小沢艦隊の死闘、栗田艦隊謎の反転が観れる唯一の映画です。そして大和の最後は松林監督の連合艦隊に対してのレクイエムなのです。
本作は海軍の保守的な体質も今まで以上にシビアに描きこまれているのも特長。

海軍の興亡と同時に二つの家族による親子の物語でもあり、戦争で子供を失う親を森繁久弥、財津一郎が好演。
森繁久弥は二人の息子(永島敏行、金田賢一)が戦死。海軍に限りない愛情を寄せる男の財津一郎は息子(中井貴一)が特攻隊に志願し「親より先に死ぬ馬鹿があるか!」と落胆する。ラスト撃沈する大和(大和には父親が乗っている)を特攻機から見送る中井貴一のモノローグ「お父さん、親よりもほんの僅かだけ長く生きてることが、せめてもの親孝行です」が心に染みます。 ラスト、戦後の日本の海辺で孫を寂しそうに見つめる森繁も印象的です。

本作の後、空戦物の集大成「零戦燃ゆ」(昭和59年)を最後に東宝は特撮戦争映画を製作していません。
「連合艦隊」は、まさに特撮戦争映画の集大成だったのでしょう。

(担当 足立)

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