仏教に於ける「空」の思想を発展させたのが中観派の祖である龍樹(ナーガーリュジュナ)といふインドの僧侶です。
その思想は非常に高踏且つ難解と云はれてをりますが、平たく云へば「実在するものは何もない」といふことらしいです。
そんなことは仏教では当然のハナシのやうに思ひますが、当時は全ての仏教徒がさう認識してゐたワケではなく「説一切有部」などの部派仏教などが強力に「実在論」を主張してをり、それを批判するカタチで現はれたのが龍樹の中観派であります。
我々の認識を超えた「実体」や「本質」といふものが存在するのか否か。
それは洋の東西問はず哲学の究極の問題だと思ひますが、龍樹はそれを「空」と云ひ放ったワケです。
「空」だとか「幻」だとか「夢」だとか云はれると、その空や夢から醒めたところに「現実」があるやうなイメージを抱きがちですが、どうもさういふものすら否定してゐるらしい。
つまりすべてはフィクションなんだけど、だからと云って他にノンフィクションがあるワケではない、といふこと。
漫画のなかの登場人物と、それを読む我々との間に価値的な優劣はないといふこと。
……なんてやってると際限がなくなるので止めますが、本書はそんな龍樹の思想を著者が提案した論理学の手法で精緻に解いていくといふかなりの野心作であります。
本格的な論理学の書籍なので読むのに体力を要します。
「論理でなくてはワカラン!」といふゴリゴリの合理主義者の仏教理解の一助に。
その他仏教書などのオンラインもはじめましたので併せてご利用ください。
(担当 山口ケン)
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