ブッシュが大統領に当選した2000年頃から新自由主義とかネオコン(なつかしい響きですな)とか云はれ始めた頃、既に一部の識者は遠からずまたマルクス主義が復活台頭して来るだらう、と云ってをりました。
そもそもが市場原理主義の鬼っ子としてのマルクス主義なのだから、資本主義がその本性を再びムキ出しにすれば当然マルクス主義も盛り上がるのは道理です。
論理的にはアタリマヘの予測ではありましたが、実際にさうなるとやはり多少驚くもので、我が国でもブッシュの舎弟みたいな人がその新マルクス主義ブームの素地を作って呉れて、その上で『蟹工船ブーム』が到来しましたね。
アメリカのネオコンといふのはもとは60年代のスチューデントパワーの担ひ手が集団保守転向したものだと云はれてをりますが、その実、偽装転向であって、再びマルクス主義を盛り上げるためにあへて市場原理主義を再登場させたのかも知れません。
考へ過ぎですかね。
しかしマルクス主義、とくに西欧のフランクフルト学派の影響下のマルキシストといふのはそのくらゐ気長に構へてますから。
ま、それはさて置き、我が国の「蟹ブーム」ですが、実際あれを読んで燃え上がったタマシヒは一体どこで完全燃焼しようとしふのでせうか?
小林多喜二の頃とは時代状況が違ひます。
当時の革命党派は、入党と同時に拳銃を渡されるといふ完全な地下組織ですが、同じ名前で現存する党派はそんなことはありません。
当時の党派には独自の路線選択はなく、ソ連の支部としての活動しか許されてなかったワケですが、今はコミンテルンもない。
『蟹工船』時代の革命党派の「ラヂカルさ」に熱い想ひを寄せるのであれば、やはり旧左翼よりも新左翼といふことになりませうか。
つまりは「極左トロッキスト集団」として合法旧左翼から切り捨てられた、ヘルメットにゲバ棒姿のあれです。
共産趣味者でもないと新旧左翼の差がなかなか理解しにくいやうですが、まったく似て非なるものであり、共産趣味者が大好きなのもモッパラ新左翼であります。
なんで新左翼が趣味者に人気かといへばバカみたい党派がややこしく分裂統合を繰り返し、その都度煩雑になる組織名といふ理由があるでせう。
マニア心をくすぐられるんでせうな。
新左翼歴史本といへば故高沢皓司氏ですが、そんなの読み飽きた、或ひは理論が多すぎてツマランといふ方に今回ご案内するのが本書。
現・元活動家の生のインタビューなども掲載されてゐてよみものとしても面白いです。
政党・セクト系列図も高沢本よりもわかりやすい気がします。
まんだらけ中野店「記憶」にて御覧になれますよ。
(担当 山口ケン)
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