世代にもよるでしょうが、大日本愛国党総裁の赤尾敏といえば結構知ってる人は多いです。
思想云々よりも「憂国のドンキホーテ」ともいわれたそのキャラクターが人々の印象に残ってるようです。
本書は赤尾敏の晩年の「瘋狂」ぶりを余すことなく撮り尽くした写真集。
恒例行事の数寄屋橋の演説会から、何度も立候補しては落選した国政選挙活動、抗議活動、警察官や国政関係者、マスコミにステッキを振り回して激昂する姿、そして氏の葬儀の写真まで。
現在は従軍カメラマン的スタンスで有名な写真家「不肖・宮嶋」の最初の写真集とのことで氏の原点ともいえそうです。
もう一冊は先の赤尾敏などの反共右翼からすれば異質の新右翼の魁ともいえる鈴木邦男氏が有名になった一冊。
いまやほとんど左翼ともいえる氏がまだゴリゴリの右翼だったときに極左の「東アジア反日武装戦線」についてシンパシーを寄せたとして「左右の接近」の象徴とされました(と言っても「狼」に限っていえば接近というよりも単なる極右からの片想い)。
極左と極右は通じる、なんていわれますが、たしかにそういう現象はあります。
先年急逝した作家の見澤知廉もかつては極左セクト「共産同(ブント)戦旗日向(荒)派」に参加しその運動が下火になったらこんどは極右である新右翼の一水会、統一戦線義勇軍の武装闘争を指揮して粛清事件で逮捕されました。
そのときの直属の上司がこの鈴木邦男氏であって、この反権力礼賛の「腹腹時計と狼」みたいな著作があったからこそ新左翼の冒険主義者たちが転向してきたんでしょう。
「狼」は太田竜の窮民革命論のような過激な極左思想に影響を受けた組織で、それまでのブントや革共同、社青同とはまったく別のノンセクト系のアナキストグループに分類される異質の存在。
案外知られてないことですが右翼とアナキストはその激情が通じるのか人脈の行き来は多いです。
鈴木邦男氏時代の一水会にもアナキスト崩れが多かったといいます。
現在凄いスピードで思想のシャッフルが行われておりますが、そんな時代に貴重な示唆を与えてくれる「毒書」です。
まんだらけ記憶&大予言では新旧の右翼・左翼などの社会思想系書籍も取り扱っております。
『蟹工船』ブームの生ぬるさに飽き足らない方は是非。
(担当 やまぐちけん)
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