(日本神仙道の基本書にして道奥書・神仙道士であればセクト問はず必携(一応本書は清水派用)・索引付)
甲「神仙道に行く人は不遇だといふ。
日本神仙道の始祖ともいへる宮地水位についていへばその人生は霜辛雪苦を極めたものでした。
数々の病気と身内の不幸。
子供はすべて夭折してしまったし、神仙の枢秘を漏洩したといふことで晩年には冥罰を蒙って病床に伏してしまった。
神仙道の遠祖とも云へる平田篤胤もやはり不遇です。
なんとも、なんとも」
乙「どうしてそんな目に遭ふのでせう」
甲「神仙道に行く人のなかには謫仙(たくせん※仙界で罪を犯したため人間界に流刑に処された仙人のこと)が多いからでせう、つまり流刑地や獄中であんまり愉しくやられては刑罰の意味がありませんので」
乙「てっきり仙道といふと現世利益を肯定するものと思ってをりましたが少々話が違ふやうな気がします」
甲「厳密には「神仙道」と「仙道」とは別個のものです、カンタンに云へば「神仙道」は神道、「仙道」は道教の部類です。
また「神仙道」は一般的な宗教のカタチをとりますが、「仙道」は一種の神秘思想です、つまり内面に向います。
更らに「神仙道」は大乗、「仙道」は小乗或ひは金剛乗とも云へる。
モチロン道奥は一緒ですけれど」
乙「しかし、不遇と分かってそれでも敢へて「神仙道」に行く人がゐるんでせうか」
甲「別に饒倖(しあはせ)を求めて「神仙道」に行く訳ではないのですから」
乙「ぢゃァなんのために行くのです」
甲「目的なんかありません、荘子にも『行くも往く所を知らず』と云ってるではありませんか。
つまり人は何らかの意思で動いてるやうでその実自分でも何でさうしてるかほんたうの理由を知らないのです。
「目的」といふのは錯覚ですよ、マボロシです。
だから「神仙道」を踏む人もどうしてさうなるのか理由なんて分からない、どうして自分が不遇の運命を歩まねばならないかも分からない。
でもその道を行くしかないのです、「何の為だらう」と考へることに意味はありませんのです」
乙「う〜ん、オレは御免だな」
了
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(担当 山口ケン)
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