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インタビュー2023.1.1

「コレクター」Che先生特別インタビュー

Che プロフィール

昼職と創作を両立できるように頑張って続いたんだが、何年も失敗していたんだ。今年も失敗した。
台湾中心でZine系イベントにちょこちょこ出る。作品がグラフィックノベル出版社Slowork Publishing のマンガ季刊に載ったことある。
イラスト専攻した大学時代から、毎年なんやら出版物を自費で作る癖ができた。今年も作った。
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投稿作『コレクター』について

『ボヘミア』vol.1より Che先生・作『コレクター』

自分が漫画を描く時は大体直感に任せて一気にストーリーを決めて、絵まで完成させます。それから「この話は一体どういう意味だったんだろう?」とふっと思い返します。

今回ボヘミアで執筆した『コレクター』は私のネタ帳から作ったストーリーになります。ネタ帳に書かれた一言から8ページに発展させるのは『ボヘミア』創刊号の締め切りを知った後だった。話し作りから絵を完成するまではどうしても締め切りに間に合いたい気持ちが思い上がって、いつも以上に直感頼みである意味思考停止の状態になったかも知れない...。今ふと思い返すと、自分は「幻像が現実を映している」話を描きたかったのでしょうか。

また、自分の中で没にしたシーンで主人公がジュエリーショップに入ると、どちらが自分だけ見える宝石かどちらが店の商品か困惑するシーンも考えた。だが最終的には作中に入れなかった。
作品を作る上で思うこと・台湾での活動
大学から、漫画とイラストを公開することは私にとって過剰な考えの発散、映像を探索する好奇心を抑えない結果だったり、悲しい思いを封印する儀式であったりします。それはどちらにせよ孤独の中で行う行動で、私は作品で人との交流を求めてなく、ただただ「語る」欲を満たしたいだけなのだ。こんなわがままを持つ私でも、七年ぐらい台湾でZineをいくつか出版した。10冊ぐらいの内容の全てがまるで「パニック中のつぶやき」のような物だ…。

台湾高雄市青年文学賞グラフィックノベル部金賞作品『黄泉送り』
1月1日発刊・『ボヘミア』vol.3掲載

同時期、私は卒業していろんな職場の転職を繰り返しその度、挫折した。こうやって2021の年末から、私がずっと持っている“社交”に対する恐怖心は以前まで感じていたものとは比べ物にならないくらい大きくなった。家に閉じこもっている時間がどんどん長くなっていく中で、「もっとたくさんの人に作品を見せる」、「もっと緻密な話を作りたい」という思いが浮かんだ。この野心は寂しさから生まれ出てきたものなのか自分でもよくわからない。しかしまさにこの欲望は『ボヘミア』のおかげで叶うことになった。

『ボヘミア』vol.2よりChe先生・作『私の全てを知ってる人』

また、漫画雑誌に掲載されるようになってから私の中で作品を作ることに対する変化が起きた。

部屋に閉じこもって一人で絵を描いていても顔のない「読者」の視点が脳裏からコソコソ私を見ている気がするようになった... この「読者」は私が描いている絵をどう思うだろう?ストーリーの進行を理解してくれるだろうか?.... などの疑問が元々作業中何も考えていない私の脳内に芽生えてきた。今、作品を作ることは前のように孤独な作業じゃないんだ。

この変化にまだ慣れていないかも知れないが、私はこのまま作品を作り続けていくんだ。
自身のプライベートで印象的な体験
何年前、私は日本人のバックパッカーと一緒に台北でお散歩することになった。彼から「日本の学校は漫画と違って、安全のために屋上に行けない」と初めて聞いた。私は高校生の頃、ひとりでマンションの屋上でカニエ・ウェストのアルバムを携帯で流して踊った記憶がある。その時、まさか私の実体験があの日読んでいた日本の漫画より漫画らしいとは思わなかった。
台湾の漫画事情などあれば(台湾から見た日本の漫画)
自分は小学生の頃から日本の漫画を楽しんでいる。当時は少女漫画にハマった。中・高校時代の趣味はファンタジー系に移り、大学以降は60〜年代の『月刊ガロ』に魅了される... 私はいつも日本漫画の題材とスタイルの豊富さに驚くんだ。まさに何歳になっても新しいジャンルに出会えるんだ。

また、紙の漫画について、私は10年前に東京でバックパッキングしていたとき中野ブロードウェイのMANDARAKEで五十嵐大介先生のはなしっぱなしと七冊の『ガロ』を買ったことがある...。

それから、台湾で紙出版される日本の漫画の種類がどんどん豊富になっていく最中、今年(2022)五十嵐大介先生作のはなしっぱなしの中国語新装版が出版された。それに、近年ガロ系作家たちの作品も台湾でちょこちょこ出版されて、専門アンソロジーまで出版されるらしい。私は読者として凄く嬉しい。
好きな日本の漫画作品
『ねこぢるうどん』(山野一・ねこぢる)、『ディスコミュニケーション』(植芝理一)、『なるたる』(鬼頭莫宏)、『ヒミズ』(古谷実)、『魚枕』(panpanya)、『ドロヘドロ』(林田球)、『ダンジョン飯』(九井諒子)、『北極百貨店のコンシェルジュさん』(西村ツチカ)
『ボヘミア』で気になった作家
もぐこん先生です。建築物、オブジェ、動物...どれも細かく描かれていて情報満載のところが大好きです。

『ボヘミア』vol.1より もぐこん先生・作『まんだらけで待ち合わせ・鳩』

何か話したいことなどあれば
常に焦って、すぐ不安になっちゃう私が一番長く続けられていることが物語作りだ。こんな私が描いた漫画がもし読者の記憶にちょっとだけでも残れば嬉しいです。
Che先生この度はインタビューにお応えいただきありがとうございます!
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