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インタビュー2022.12.15

「るるぱっつん!!」土田拓摩先生特別インタビュー

本日はお時間いただきありがとうございます。
(土田)こちらこそありがとうございます。
早速なのですが簡単な自己紹介からよろしくお願いします。
(土田)一応漫画の経歴で大丈夫なんですかね。講談社の第51回ちばてつや賞で期待賞を受賞し、その後『別冊ヤングマガジン』で1ページ形式のギャグ漫画を連載しました。それから期間がしばらく開き、ぶんか社の『みこすり半劇場』でグレゴリーというペンネームで四コマ漫画を短期連載で行い、現在は小樽道新文化センターで月に一回漫画イラストコーナーを開いています。そんな感じですかね。
土田拓摩 プロフィール

第51回ちばてつや賞・期待賞を受賞後、講談社『別冊ヤングマガジン』にてギャグ漫画『弥の明後日』を短期連載。ぶんか社 岩谷テンホーの『みこすり半劇場』にてギャグ4コマ『ザ・グレゴリー・ショウ』掲載後、個人サークル「マモズウ」でコミティア等のイベントに参加。合同誌『漫画の手帖』や『年刊誌怪奇』にも参加し、ショート漫画を寄稿。

Twitter:@ExtremeLulunpa
Instagram:mamozuu

土田先生の普段描かれている漫画のジャンルはどんなものでしょうか。
(土田)ジャンルはギャグのつもりで描いています。
『るるぱっつん‼︎』はどのようにして生まれた作品なんでしょうか。
(土田)まず「るる」というキャラクターですが、『ヤングマガジン』の連載終了後、しばらくマンガを描かずに過ごしていたのですが、Webサイトを立ち上げた時に自分の漫画を公開してみたら、割と好意的な反応を頂いてそれに気を良くして、徐々に新作を描くようになり、そんな中で生まれたキャラクターです。今まではキャラクターが弱いと言われていたので、キャラクターを意識してキャラもののギャグで、さらに苦手な4コマを描いてみよう!その技術を身につけよう!それと女性キャラも描いたことがなかったので描こうと思ったのと、今までの私の漫画は一言ボソッと呟いて笑わせる系のオチの漫画が多かったので、セリフを喋らないキャラクターを作り自分にたくさん縛りをつけました。
なぜ縛りを設けようと思ったのですか。
(土田)縛りをつけたほうが描く気になると言うか、自分の中でルールを設けてそのルールの隙をつくというか…、ルールをつけたほうがやる気になるというか…。ルールを掻い潜るのが好きなんですよね。もともとあるルールを壊すよりかは、自分で作ったルールを壊すほうが好きと言うか、そういう感じですね。その方が新しいモノが生まれるような気がするんです。そのルールは別に読者には提示しないんですけどね。
かなりるるのキャラクターのデザインは大胆ですよね。
(土田)喋らないキャラというのをシンプルに見た目で表したキャラなので、そこのキャラクター造形は気に入ってるんですよね。初めて描いたのが2009年度なので、もうずいぶん長いことるるを描いてますね。作者の私自身謎のキャラなのでるるのことをわかっていない部分があります。
ギャグ漫画を描く中で笑いの表現についてこだわりはありますか。
(土田)笑いの表現については、オチがあった方が読者に誠実かなと思います。オチをつけるということは、作者自身で「これは冗談です」という風な意思表示だと思っているので、その意思表示は最後に提示した方が良いかなというのはあります。それがないのがホラーかなとも思います。それと絵柄も関係していると思うんですよね。シュール系の絵柄だと、デフォルメで描いたり簡単に描いたり、絵柄自体で「これはギャグですよ」と表現できるので、割とオチがないものでもギャグとして成立している。私は元々描き込む系のリアルタッチ寄りの絵なので、オチをつけないとギャグだということが認識されないことが多いので、オチをつけるようにしています。
オチと言うと『るるぱっつん‼︎』の一話のオチもすごかったですね。
(土田)はははは!あれはそうですね。
誰も想像がつかないというか。
(土田)そうですか?割とブラックなオチかなと思うんですけど、子供だから許されるというのもありますよね。私自身はこれだというオチだとは思ってないのですけど。
講師の経験が漫画制作にどのような影響を及ぼしていますか。
(土田)講師の経験ですと、受講生は子どもから大人まで幅広い年齢層で思考や目的もそれぞれが違います。そのためそれぞれの受講生にどのような絵が描きたいかを聞きながら描いたり教えたりしているんですけど。
みなさんどのようなことを教わりに来ていますか。
(土田)絵のテクニック的なところを教わりたい受講生が多いのです。絵のゆがみであったりを直したいという生徒さんもいるのですが、私からするとその人の個性だから、そのままにした方がいいよなーとも思いつつ。癖でいうとそれは僕自身にも言えることで、僕の場合キャラクターを描いていると左右の目大きさが毎回違うんですよね。今はデジタルで描いているので簡単に修正ができてしまうのですが、その事によって私自身の持つ絵柄の個性が失われていってしまっているのではないかと思いつつ、ゆがみを直すべきか否かというのは難しいところだなあと考えています。
生徒さんから逆に教わることなどはありますか。
(土田)私はやっぱり悩みながら描くんですけど、皆さんはもうすごくスピーディーに、自由に描いてるという感じで(笑)自分が絵が好きで絵を描いていた頃を思い出すような感じ。今は絵を描くのが結構辛いので。
『るるぱっつん‼︎』のような異世界を描かれていますが不思議な世界について考えることありますか。
(土田)元々未確認生物や怪獣、クリーチャーが大好きなのでそういう世界を考えたりはするんですけど、以前、『怪奇』という合同誌で「夢の世界で大量のクリーチャーや怪物が出る漫画」を描いたのですが、ホラーのつもりで描いたのにさっぱり怖くなく、それはなぜなんだろうということを考えたのですが、現実世界にクリーチャーなりなんなりが出てこないと怖くないのかなーと思いました。今回の『るるぱっつん‼︎』の最新話では河童の国に行くのですが、そこは楽しく描くことができました。
一話と二話と違って人間の世界が舞台ではなく完全にカッパの世界を描いていますよね。
(土田)はい。だからすごく描き込みなどが増えてしまいました。元々いる世界から河童の世界に移動したとなると絵的な説得力が必要になると思い、大変だなあと思いながら描きました。最初の一コマ描いていて、つい描き込みを増やしてしまって、他のコマもこれぐらい描かなきゃとなってしまって「ああ…」って。第一話が始まる前に小樽の隣の余市町の余市川に河童が出そうなスポットがあって、そこで写真をたくさん撮ったのですが、結局ほとんど使いませんでした。札幌の南にある定山渓温泉街を流れる豊平川は河童淵と呼ばれていて、河童の伝説が残されているので是非取材したかったのですが、行けずじまいで。もう冬になってしまった…。そんなこともあって今回は資料無しで頑張って描いたので、是非読んで欲しいです。僕のバックボーンは『ウルトラマン』で『ウルトラマン』に出てくる怪獣の造形が根底にあると思うんですよね。怪獣とクリーチャーの違いは人が入れるかどうかなと思っているんですけど。
どういうことでしょう。
(土田)つまり着ぐるみか否かということですね。人が入るという前提のもとであれだけ斬新なデザインを作っており、そこがファニーと言うか笑いの世界に通ずるものがあるんですよね。根っこは人が入っているから安心できるということでしょうか。その中に変な人が入っていたりというのも考えていても面白いのですが。
『ボヘミア』で誰か気になる作家はいますか。
(土田)絵柄的な所で言うと『女相撲☆どすこい巡業中』の堀内満里子先生のタッチとかが好きですね。
アナログタッチの描き込みがある感じが好きです。

『ボヘミア』で連載中の堀内満里子先生作『女相撲☆どすこい巡業中』より

堀内先生は原稿は中国製の筆と墨液玄宗で描かれていますね。
(土田)私のバックボーンは漫画家を目指し始めた二十歳のころで、望月峯太郎先生の『ドラゴンヘッド』が好きでよく模写をしてみました。その後伊藤潤二先生の『うずまき』を読んで「これだ!」と思いました。そういったホラータッチの漫画が好きです。どちらも女性の美しさを描いている作家なのでそこから惹かれました。楳図かずお先生の漫画は地元の中華料理屋で読んだのをきっかけに出会いました。『神の左手悪魔の右手』を中華料理屋で読んで「こんな漫画を飯屋に置くんじゃないよ!」と子どもながらに思いトラウマになったのですが(笑)もちろん大好きな漫画です。
今後はどんな漫画を描いていきたいですか。
(土田)『るるぱっつん‼︎』がどのような転び方をしていくかにもよるのですが、それ以外でもクリーチャーがバンバン出てくるような漫画を描いてみたいです。今まで短編を描くことが多かったので長いものを描く練習もしていたいです。
本日はどうもありがとうございました!
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