「死絵奇談」とは、貸本版元「兎月書房」から発行された黒須喜代治なる作家の筆による怪奇・幻想漫画。
原本の奥付には発行時期に関する記載が無く、詳細な時期は不明であるが、当時の定価（￥150）等から推測するに昭和30年代中頃に（34年〜35年頃
か？）出版・刊行されたものと思われる。「死絵奇談シリーズ」と銘打たれた連作の1作目で、以降「死人切符」、そして「死人0番地」…と続刊する。
しかし、「死人0番地」（2作目「死人切符」に次回予告として刊行が案内されている）は現存が確認されておらず、以降の続刊の存在・タイトルやそもそも実際に発行されたのかどうかも不明である。
シリーズは、代々不吉な死絵を売ることを生業としてきた死絵堂一族の当代が、その呪われた血の果報によって翻弄される様を描いた連作で、頻繁に挿入される独白やナレーション（伝聞の「という」で文を締める場合が多かったり、独白による自信の状況の説明が非常に淡々とした内容のものであったり、どこか常に第三者的）が印象深く、物語に独特のテンポを与えている。また作中折に触れて超現実的な造形や描写が挿入され、前述の独特のテキストと相俟って無二の作品世界を醸成・現出させている不穏な怪作である。
黒須喜代治は今ひとつ全容の知れない作家で、絵柄的には同時期に同じく兎月書房で活躍した水木しげるや、その水木にも影響を与えた海外漫画の影響が色濃く見受けられる、また、サルバドール・ダリ等のシュルレアリスムの画家達からも多大な影響を受けている様であるが、その作家としての出自や経歴等、不明な部分が多く未だ謎の多い作家である。
作家・シリーズ共に日本怪奇漫画界に燦然と輝く…とは言えないかも知れないが、確実に、妖しく輝く妖星である、と、思う。
…と、言う事で。
黒須喜代治、ここに復活です。まずは当然、連作第一弾でありシリーズ表題となる「死絵奇談」より。
都内某所にて怪奇漫画の大家、今は亡き白川まり奈氏と当社社長、古川益三が復刻の密談を交わしてから早十余年、
紆余と曲折を経て遂に解禁!!
一般の書店流通には載らない特殊書籍!!
まんだらけ各店（中野店では既に販売中、
その他、池袋店を除く各店でも順次販売開始予定）にて販売中！
A5判/本文152頁
2012年4月29日グッピー書林puls発行
・黒須喜代治『死絵奇談』税込み￥945
この機会に是非!!
あと、「死人切符」より後のタイトルを実際にお持ちの方居られましたら、是非ご一報を!!!
(担当 久保)
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