まんだらけ中野店 4F 大予言 5次元の世界

『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』リサ・ランドール原著向山信治・塩原通緒訳 2007年 NHK出版 \1575（定価2900円+税）

いやァ理論物理もたうとう凄いとこマデ行ってしまひましたね。
副題が「5次元時空の謎」ですよ。
かつて精神世界の定番用語であった「4次元」をスッ飛ばしていきなり5次元です。
そもそも理論物理といふ学問ヂャンルそのものが精神世界系の人からすればとても親近感があります（理論物理学者は迷惑でせうけど）。
なんとなれば観測だけでは分からない、分かりやうがない仮設を打ち出してくれるからであります。

しかし、この「第5次元」に関していへば観測によりある程度証明可能であるといふから驚きではありませんか。
それが現在欧州はLHC（大型ハドロン衝突型加速器）といふドデカイ実験施設で進められてゐる実験の結果によっては5次元の存在が現実味を帯びるといふのですからワクワクしてしまひます。

理論物理学者の悲願といへば「大統一理論+重力」といふ難題で、それに対して「超弦理論（第11次元まで含む）」などが唱へられて久しいですが、本論もその流れにあります。
自然界の四つの力のうち「重力」だけが極端に弱いのは何故か、といふ難問に対し「重力」だけはこの世界に閉じ込めて置くことが出来ずに他の次元（第5次元）にも存在するから、といふなんともエキサイチングな仮説。
さらには我々と同レベルの次元（3+時間）でありながら全く別の世界（一種のパラレルワールドか）までもがその存在を理論上予測されてゐてまるでSFの世界のやうです。

著者はハーバード大学物理学教授。
もとは数学の天才少女といふことですが本書のコンセプトは数式を使はないで説明すること。
ありがたいですね。
用語解説から索引まで付いてる600頁超の大著。
理系の人はモチロンですが哲学や宗教探求者にむしろオススメです。

(担当山口ケン)