2010/1/1 12:00掲載
まんだらけ

記憶×大予言 2009ベスト

グランドカオス 原

すいません、順位は決めれませんでした。
さらに2009年ベストってお題だったんですけど、今年も読んだというか結構今の自分に影響した本を挙げてみました。 今年出た本は全く入ってないです。 しかも5冊っていわれたのに3冊。アウトローですいません。
ユダヤ警官同盟もいれようかと思ったんですけど、ミステリーとかSFは三次くん(※中野店スタッフの変態)がもっと良いのを挙げてくれるかなと。


ポール・オースター/柴田元幸 訳 「スモーク&ブルー・イン・ザ・フェイス」

ポール・オースターといえば殆どの人が「幻影の書」を挙げると思うんですけど、僕はこの本です。というか実はポール・オースターを知ったのは映画「スモーク」を見てからなんです。

1994年か95年 (もしかしたら96年かも、なんしか20歳ぐらいのとき) ぐらいだったと思うんですけど、当時タランティーノのパルプフィクションを見て打ちのめされ、レザボア・ドッグスを見てハーヴェイ・カイテルのかっこよさに惚れてしまい、そしてハーヴェイ・カイテルが主演するって聞いて見たのがこの「スモーク」だったんです。

ポール・オースターの話は読み終わった後にすごい考えさせられるし、そしてちょっと人に優しくなれると思うんですけど、この映画もその世界観そのままに日常と非日常が織り成す世界は見応えがあります。

で、本の紹介なんですけどその映画のメイキング (ポールオースターのインタビュー) と脚本で構成されています。 ちなみにブルー・イン・ザ・フェイスはフィルムが余ったから即興で作ったって話なんですけど僕はこの本を読んで初めて知りました。

なんか映画の話ばっかりになってしまったんですけど、実は短編「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」が元の話になっているんですが、この本にちゃんと収録されています。 映画とあわせて読んでほしいです。


チャールズ・ブコウスキー/中川五郎 訳 「詩人と女たち」

ポール・オースターの次がブコウスキーかよ!って突っ込まれそうですが、僕この人の本メッチャ好きなんです。 ちなみにこの本はブコウスキーの自伝的な小説なんで、かなりやさぐれた感じで全編進んでいきます。なんしかこのやさぐれ具合が最高です。

あとこの人詩人だけにエッセイも書いてたりするんですけど、「ブコウスキーの酔いどれ紀行」なんかは全編酔っ払いながら書いてるんじゃないかってぐらいなんともパンクです。

こんな僕でも仕事とか他人には言えない事で疲れることがあるんですけど、ブコウスキーのやさぐれ具合を見て、自分のやさぐれなんてやさぐれてる内にはいらへんなって感じでちょっと元気になったりします。

酒と競馬と女っていう典型的なダメ男な生き方をしていたブコウスキー、この人はほんとにモテモテ人生だったんですけど、この人に憧れてる僕は全くもてません。多分ブコウスキーに憧れてる人なんかは絶対モテないと思うんですが・・・、

すいません少し話がずれました。 ちょっと古い話なんですけど、草食系男子なんていわれてる人にはこの本渡してバカヤローって言いたいです。決してひがんでる訳ではありません。


STUDIO VOICE No.273 「特集★新宿ジャック1968 昭和元禄の疾風」

なんでスタボなん??とか言われそうですが、この本というかこの号がすごいんです。 それまでサブカルといえば音楽とか映画とかファッション色の強いものだと考えていたのですが、そこに主義・思想・政治なんかも混ざり合っているって事に気付かせてくれたというか、なんしか入門書のような内容で、何回も読み直した記憶があります。

引越しを何回かする内に無くしてしまい、その存在をちょっと忘れていたんですが久しぶりに古書店で出会い即購入。 今になって読み直してもやっぱり読み応えがあるなと。今度は絶対に失くしません。中でももう亡くなっちゃった赤塚不二夫と若松孝二の対談は当時の新宿のある一部分の事を克明に話していて、なんか人間関係がすごくうらやましく感じたりします。

なんしかやっぱりスタジオボイスってすごい雑誌ですよね、今はオンラインだけになってますけど、この雑誌はすごいと思います。

ヴィンテージコミックスと記憶・大予言関連書籍、少し前までは少年コミックスも担当。
09年で気になったこと。
グランドカオスで本格的に記憶・大予言関連書籍を取り扱い始めたことでしょうか、いままで殆ど興味のなかった東洋武術関連書籍をちょっとだけ読むようになりました。最近買ったのは「借力拳法」の本、全くもってとんでもない本でした。2010年も色んな力を借りていこうかと思ってるんでよろしくです。

グランドカオス 竹内


1位 魔夜峰央の「ダリ的魔法術」 魔夜峰央

1位の「ダリ的魔法術」はダリの絵の解説を魔夜さんがイラスト付きでしている絵本のような本です。

表紙の装丁も絵本ぽいながら、神秘的で不思議な感じで、ダリと魔夜さんの不思議さがマッチして非常に興味深い仕上がりになっていました。
今まで漠然と見て感じるだけだったダリの心理が少し垣間見れます。


2位 一期一会 四字熟語辞典編

2位の一期一会は辞書の扱いになるので、記憶とは異なるかもしれませんが、辞書とアルバムを合体させるという発想が面白かったので、辞書の部分だけ何度も読んでしまいました。

他シリーズが色々ありますが、言葉のセレクトといい、一期一会が一番手元に一冊置いておきたい作品です。


3位 世界の日本人ジョーク集 早川 準一 中央公論新社

3位は日本人の有り方をジョークを通して分析している本です。
ジョーク自体も面白いですが、文化やそれに基づいた気質が捕らえ方によってはユニークだということや、アニメ・漫画という日本文化についても触れていることから、うちのスタッフは一度目を通すと面白いかもしれないと思う一作です。 スタッフじゃなくても漫画やアニメに興味がある人はああこういう見方をされることもあるんだ、ジョークになるんだと笑うより先に感心しちゃいます。

以上です。

竹内寛子・グランドカオスコミック担当 (レディース)
09年で気になったこと:犯罪者が逃げる心理と方法論。
後は擬人化ブームがどこまで自分の生活を侵食するのか。

札幌店 いわき

今年読んだ三島由紀夫BEST3

三島由紀夫BEST3+αです。
総合すると、三島先生の書く文章は本当に美しい、ってことです。これに尽きます。三島先生の作品が読める時代に生まれてよかった。


BEST1:金閣寺

メタラーの知人に金閣寺読まないやつはバカ、と言われて読みました。 主人公鬱々としすぎですが、自分自身も学生時代はコンプレックスまみれで暗黒だったので、感情移入の度合いがハンパなく読み進めるうちに具合が悪くなる始末。
しかしそこは三島先生の美しい文章でカバー。


BEST2:潮騒

恋愛にそこまで重きを置いていないので、恋愛をメインとしたストーリーというのは進んでは読まないんですが、 この作品は海辺の町のなんの変哲もない男女の恋のお話なのに、 そのなんの変哲もないお話をここまで美しくすることができるとは…!!!と鳥肌が立ちました。
「その炎を飛び越えて来い!」のシーンは情景が眼窩にはっきりと浮かびました。


BEST3:仮面の告白

正確には初めて読んだのは何年か前なんですが、部屋掃除してたらふと出てきたのでなんとなく再読。
初めて読んだ三島作品ってことと、読んだ時に「あ、私このままでいいんだ。何も恥じることはないんだ」って思えたってことで、とても思いいれのある作品です。


番外編:実音収録!!三島由紀夫の死

読物ではないですが、生前の三島先生の写真がたくさん見られたというだけで眼福でした。 機材の関係でソノシートが聞けなかったのが残念。ということで次点。

今年よかった図鑑BEST3

絵を描くという行為が生活の一部になっている私にとって、資料としての「図鑑」は最早欠かせない存在。 しかしいつからか資料としての枠を超え、純粋に図鑑を楽しみ、収集ともいえない収集を続ける日々が始まったのでした…
そんな私が選んだ「今年よかった図鑑BEST3」です。
「参考」ってのは絵を描く際の参考ってことでよろしくおねがいします。


BEST1 クローズアップ 虫の肖像―世界昆虫大図鑑/東洋書林

昆虫というミクロの世界を、でき得る限りにクローズアップ!殴ったら人を殺せそうな厚みとサイズ。 とにかく頁を繰っても繰ってもそこにあるのは虫の顔のアップばかり。近くで見ると意外とゴツゴツしてたり、 モジャモジャしてたり、コナコナしてたりほんとあいつらクリーチャーですかわいいです。

アップだけでなく全体図のイラスト、その虫に関する説明やマメ知識ももちろん網羅。複眼や甲羅の金属光沢は本当に垂涎ものの美しさです。 昆虫好きな人には間違いなくオススメしたい1冊。逆に虫嫌いな人には絶対にお見せできない1冊。

興奮度 (一部の人に限り) :★★★★★〜∞ (ほしむげん)


BEST2 動物の大世界百科 動物の世界7/日本メールオーダー社

図鑑と言うよりは索引で、豊富な写真+綿密な説明で絶滅危惧種や環境破壊について勉強できる1冊。 図鑑ではないぶん動物の写真がイキイキとしており、当時の印刷技術も相まってやや焼けた感じの色合いが最高。 動物写真一つ一つのポーズのチョイスも最高。装丁もシンプルでかっこいい。

模写にももちろん大活躍ですが、加工しなくてもそのままいけそうなシビれるくらいいかす動物の写真がてんこ盛り。 随分おせわになりました (私物には使えそうなページに計30枚くらい付箋が貼ってある) 。

参考になる度:★★★★★ (ほしいつつ)


BEST3 恐竜図解事典/D・F・グラット著 小畠郁生訳 築地書館

とにかく骨がメインの1冊。復元図はものによってはややお粗末ですが、イメージイラストの遊び感覚・骨のスケッチの細密さは見ていてワクワクします。

復元模型の写真や恐竜の骨 (一部分) と人間との大きさの対比なども参考になります。これ1冊あれば、恐竜の骨というジャンルに関してはどうにかなりそうです。 全編モノクロ&黄色一色な表紙の装丁もナイス。

参考になる度:★★★☆☆ (ほしみっつ)

今年読んだ欝になる小説ベスト1


BEST1 悪童日記シリーズ/アゴタ・クリストフ ハヤカワepi文庫

「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」からなる三部作。 正確には初めて読んだのはもう何年も前で、今年は3読目でしたが、やっぱり面白かったし最強の欝小説でした。

何度読んでも同じ部分で涙が出ます。何度読んでも理解しきれない部分もあります。それでまた読んじゃいます。

欝度:★★★★★ (ほしいつつ) ただしカタルシスは得られます。

自己紹介:札幌店ヴィンテージ&コミック担当。最終的におもしろければもうなんでもいいと思ってます。
今年気になったニュース:MJ、アベフトシ、清志郎、SABE…訃報が重なりつらかったです。
今年はどんな年だったか:バイク事故で死にかけ、新型インフルで死にかけ…しかし生き抜きました。人生について考えさせられた年でした。

札幌店 大井

2009年 開祖(もしくは宗家)ベスト5 +α

自分自身が真摯に探求心を持って日々臨んでいるわけではありませんが、幼少の頃より単純に強さへの憧憬を未だに持っていて、あれやこれやと想い描いてます。

情報が氾濫している現代では、競技格闘技、それら格闘技を統一のルールの元に戦うNHB、実戦の護身術、戦場での殺人術、スポーツ武道、伝統の古武道・武術・柔術、その中での本物とニセモノかもしれないものの違いなども、ある程度はわかるようになってきた、異種格闘技戦という名が古臭くなっている現代、むしろ創造力が広がってきたと思われます。

小さかった頃からの憧れを未だに持ち続け、現代の格闘情勢に飽き足りない、夢を忘れられない往生際の悪い大人が増えてきたからこそ、各漫画雑誌でも総合格闘系の漫画が多数連載されているのかもしれません。格闘技を納めようとしている、全ての人が強さを求めているのではないのかもしれませんが、根底にあるのは強くなりたい衝動だと思われます。やがて思想や生き方や人間関係に多大な影響をもたらし続けたものとなり、精神修養・人格形成の場であり道となり、人格者に至るのが武道なのかもしれません。

そんな武道家にして開祖、宗家といわれる割と一般にも名の通っている大先生のごく一部を羅列させていただきますと、大東流合気柔術中興の祖武田惣角、日本傳流兵法本部拳法開祖本部朝基、柔道の父嘉納治五郎講道館初代館長、合気道開祖植芝盛平、養神館館長塩田剛三、太気拳至誠塾宗師拳聖澤井健一、ゴッドハンド大山倍達極真会館総裁・・・。現代に生きる達人では、拳聖中村日出夫拳道会総師、心道流空手道心道会教士宇城賢治、戸隠流忍術代34代継承者初見良昭などなど・・・。

まるで、門徒・信者を多く抱える宗教の教祖、一代で大企業に成長させた創業者にも勝るとも劣らない、強烈なカリスマ性や、多くの伝説、耳を疑うような逸話など含めまして、何よりも不世出の“強さ”を感じさせてくれる、武道の開祖、宗家といわれる大先生の事がとてもわかりやすくありがたい本を、誠に勝手ながらわずか数冊ご紹介します。


「武道の原点」合気ニュース/宇城憲治

とりあえず、三戦!!(サンチン)
という事で、型も見事にはまったようですので始めます。

近くのジュンク堂の地下2階に武道・格闘技の書籍コーナーがありますが、その棚の上に貼られている案内表示があり、柔術や古武道や合気道、空手、ボクシング、総合格闘技などなどのカテゴリの中に“宇城憲治”とあります。

著書がそれなりに多いのも当然ですが、著書だけ多くても個人名がカテゴリに入ることはありません。武道・格闘技コーナーで個人名が案内されているのは、宇城先生のほかは高岡英夫先生ぐらいなもんで、それだけ購買する心酔者が多いのですよ。

フルコンタクトでは最強と評されていた極真会館の、元世界王者数見肇や元ウエイト制重量級王者岩崎達也、元SB世界王者の吉鷹弘などが宇城先生と組手を行い、若い元打撃の王者たちが齢50歳を越えられている先生に、全く歯が立たず手玉に取られてしまうエピソードは有名です。相手の力を無力化してしまい、なす術なく圧倒される組手や技の数々のみならず、人間力・心・体・人生全てを武道を通じて高めている生き方を示してくれる達人です。

書籍は多数ありますが、ここから始めてみてほしい一冊です。身体脳を鍛えましょう。


「改訂版 武田惣角と大東流合気柔術」合気ニュース/スタンレー・プラニン

「はい、この先生にこんにちはー」
極められ片手を床についたところではじめます。今回ご紹介するのは改訂版です。

表紙にある惣角翁のお姿がなんともインパクトのある初版との違いは、宗家教授代理の佐藤啓輔先生が前書をたまたまお読みになり、惣角像・回顧録を書き留められることを思い立たれ追記し、改訂版として出版されたものです。こんなじじいとっちめてやろうか、と掛かっていったら、かえって痛めつけられたとの回顧には嬉しさが伺えます。

過去、現在、未来を“合気”で見通す神通力、 壁抜けの妙技や、門外不出の英名録に記されている著名な方たちとの興味深いエピソードの数々はこの書でも確認できます。資料もそれほど流されていなく、名利を追わなかったので、伝説が先走ってしまうという事は仕方のない事かもしれませんが、事実は“高弟”たちによって、守られ高められております。

わかりやすい凄さの一例としては、いろいろと囁かれている関係はおいといて、最も信頼し可愛がっていたといわれる(時宗宗家曰く)合気道開祖植芝翁を指導し開眼させた事でしょうか(参考文献「劇画 合気道開祖植芝盛平」出版芸術社刊)。

よく世間で出回っている安物の“武士とは”を殊更クローズアップしているだけの思想は危なっかしくて稚拙で仕方がありませんし、昭和後期・平成に生まれた人間にとって、武士道って何?って言われて応えられる人なんてそんなにいないはずです。こちらの惣角大先生のように、食事でも歩いていても寝ていても一分の隙も絶対に与えず、行住坐臥すべて戦いという武士として貫こうとする、有様・生き様を昭和の世になってまで実践していた行動の数々は、現代の我々にとっては唯の物語としてとどめておくには文化の損失と思われます。

縁の地だからかもしれませんが北海道にもたくさんあります大東流合気を関する流派ですが、柔術に触れてみたいと気になる方は何はともあれこちらの書をどうぞ。


「拳聖澤井健一先生」スポーツライフ社/佐藤嘉道

それでは、立禅!!(りつぜん)
という事で気を養ったところで始めます。

中村日出夫拳道会総師も“拳聖”ですが、中国武術の真髄を日本に伝えた拳聖の書をご紹介します。著者は教授代理の佐藤嘉道教士。 意拳の創始者にして“国手”と謳われた王向斉。その王向斉の唯一の外国人(中国人に対しての日本人)の弟子、太気至誠拳(通称:太気拳)澤井健一宗師。

残っている映像・画像をみると必ずといって良いほど、竹林などの野外風景の中での組手が見られ、王向斉先生からの“道場は持たず”という指導を頑なに守っていたからと言われております。そしてスラックスにYシャツ。そこに形式にとらわれない本物だからこその凄みを感じます。

お弟子さんたちの数々の活躍(逸話)も多く、一般にも知られる機会もありますが、そんな現代の達人クラスの先生たちをも手玉にとっていたといわれた使える技の数々。圧倒する力、滑らかさ、気魄・・・我々が知る老人というカテゴリの範疇外にいるのが達人。その達人中の達人の口から第2章の『武道の真髄』内で、年老いてから光るもの、としての記述が非常に説得力があります。

年齢を重ねると共に憧れる対象が少なくなり、目標も希薄になり何となく疲れている人たちに、僭越ながらご覧になっていただきたい書です。


「本部朝基と琉球カラテ」愛隆堂/岩井虎伯

ナイハンチ!!
という事で、姿勢正しく護身の意を表しましたのでご紹介します。

琉球拳法唐手術の使い手、戦前最強の実戦唐手家と謳われた本部朝基日本傳流兵法本部拳法開祖。実戦唐手術を持って多くの流派に影響を与え、普及発展に多大な貢献をされた、本部朝基開祖の書についてご紹介します。

琉球王国の大名家に明治3年に生まれ、幼少から手(ディ)の稽古に明け暮れ、青年期には遊郭や花街にて“掛け試し”一種の「辻斬り仕合」に実戦を求めていたと言われてます。大阪に渡ってからも実戦を求め続け、特に有名な出来事としてプロボクシングの興行にて飛び入り参加し、上背・体重共にはるかに上回るロシア人ボクサーを圧倒し、ピストン堀口のパンチを全て裁いてみせた、などの本物の武勇伝は枚挙に暇がありません。

その本部朝基宗家が記した書物は『沖縄拳法唐手術組手編』(唐手術普及会/大正15年発行)と 『私の唐手術』(東京唐手普及会/昭和7年発行)があり、共にこちらの書で復刻版として確認できる他、琉球拳法(唐手術)の歴史のみならず、琉球王国、手(ディ)についての概論が確認でき、ちなみといってはナンですが、まだ書店で購入できます。


「“気”の超力」実業之日本社/西野皓三

バレエと医学と武道を結びつけた西野先生の“西野流呼吸法”。 西野先生は終戦の年に特設されましたが8年で消滅してしまった、元宝塚男子部の部員にして医学博士、合気道を修め、そして中国拳法は澤井健一宗師から学んだとか。

今回そんな現代の達人をご紹介する書は、間違いなくジャケ買いの衝動にかられるでしょう。これほどまでに先生の凄さが出ている表紙はありません。先生の気一閃で門弟10名ほどが放射状に飛び退ける!! こんな事があるわけがない、と疑うのは簡単ですが、何事も先ずは受け入れる姿勢が大事です。コレが実戦の場で使用されるならば、間違いなく各種目・各階級全制覇できるほどのチャンピオンです。しかしやりません。競技のためのものではないからです。武道は追求するもので、目先のことに左右されません。

ともかく人間はエネルギーを取り入れ生きており、呼吸と食事は必須で、食の重要性も説かれております。“とにかくうまいものを食べなさい”というような、食べ物のセンスが若さを保ち、人間を豊かにするというお考えです。

“西野流呼吸法”は生命エネルギーを増幅させて心身ともに活性化する方法です。 とにかく先生の凄さは門弟の由美かおるを見れば、ただ事ではない事がわかるはずです。ですので西野流を究めた「由美かおるのダイエット呼吸法」(竹書房)オススメします!?


「古神道と古流武術」八幡書店/大宮司朗/平上信行共著

古神道を研鑽し、玄学の第一人者にして大東流も直接教授されている大宮司朗先生と、大東流、その他柔術、剣術、居合術の伝承と保存に努められている平上信行先生の対談集です。

要素的には思いっきり右側と思われるかもしれませんが、読み進むにあたって浅学のわたしにとっては、突き詰めるとどちらも同じ領域の中にあるのだなあと思えます。“日本神国論”“大八州小八州説”“ヘレフォード地図”・・・。

解説により明らかになる、古神道と古武道、秘儀の解説、武術の本質と古神道との関わり、奥義と言われる部分まで触れられている、奥伝秘伝の書!!

心理的要素やシカケなど、様々なものがミックスして保護されている部分もあるのかもしれませんが、各武道、流派の先生達が問われている共通する点は、“戦わずして勝つ”という境地と、肉体的には“呼吸”と“気”の重要性。何事も自身の人生にどのように摂り入れ活かすかは自分次第。

武道の源泉の竹内流のアレとか、長尾流躰術や、関口流とか、荒木流、水鴎流武術は、ホントに触れられる機会が少ないし、BABジャパンのDVDは収録時間が短い割には・・・。というような古武道のトップアイテムを、そのうちご紹介できるよう修練修練・・・

札幌店 開祖(オープニングスタッフ)のうちのひとり 大井

札幌店 みき


■BEST 1■
集英社 美輪明宏「美輪明宏のおしゃれ大図鑑」

まんだらけに入社し、周りの友人らと会う時間も無くなるとそれまで専門学校で一緒な感じの服装・持ち物でしたが一変。

着るもの・持つものはブランド品や「あれそんなの着てたっけ」と私の持つ友人のイメージにないものを着ていたりするわけです。
この本は「貴方の似合う服装を着ていれば良い」と…。そう、そうなんですよ。
「今現在の日本は暗い色ばかりで不況不況と。戦前の綺麗な色が流行した時代はとても前向きに…」
という文章が素敵。今の日本は暗いニュースばかりなので、ちょっとでも美輪流おしゃれ術を知っておくといい事がありそうな気がしてなりません。


■BEST 2■
PIE BOOKS 佐藤 園子 「スウェーデンのあたたかい暮らし」

某国擬人化漫画の影響ではございません!!(こんなに北欧キャラが人気が出るなんて…) 元々ヨーロッパ諸国が好きで、集めていた本。税金が高かろうが何だろうが住みたい気持ちは変わらず。 寒い暮らしには慣れております!(実家が札幌より寒いから)

著者が暮らしているスウェーデンの春夏秋冬が写真で眺められる一冊。 春のイースターの卵の殻に描かれる模様が可愛いこと!巻末にはミトンの型紙が入っています。

自己紹介:札幌店少女レトロ&少女コミック乙女系図書担当。
今年気になったニュース:昨日の晩飯の事しか思い出せません。
今年はどんな年だったか:まわりの人が入院してました。(3人程)

渋谷店 南


すべての死者よ、甦れ!〜池島ゆたかが見た、生きた、ピンク映画傍証50年史〜 / 池島ゆたか

字が小さくて厚さも、そこそこですがインタビュー形式なのでスーッと読めました。

演劇の世界からピンク映画を中心に俳優へ。 下元史朗、大杉漣、蛍雪次郎らと並び四天王と呼ばれた池島ゆたか氏。 そして、後にピンク映画の監督となり、2009年に監督作100本となった大ベテラン。 ピンク映画にこの人あり、といわれ続けております。

そんな氏が80年代初頭から現在までのピンク映画の歴史と思い出話を語ったのが本書。 PGとはピンク映画のミニコミで、長い年月をかけて100冊以上出されています。 2009年に出された、その別冊です。

一般映画に進んだ人、ピンク映画にいまでも関わっている人、実家帰っちゃった人。 監督、製作、撮影、脚本、助監督、女優、男優エトセトラ。
「寄せては返す、この波のようにアタシの体の上を色んな男たちが通り過ぎていった…思い出ひとつ残さずね…」 (by『旅の重さ』の横山リエ)
みたいな感じで様々な人間が、この本に登場しては消えてゆく。 業界を去った人への挽歌と、近い将来存亡の危機、かもしれないピンク映画への想いが、このタイトルに込められています。

渋谷店少年漫画担当の南です。
記憶系の本でいえば映画の本が好きです。 映画といえば2010年は1月9日よりシネマーヴェラ渋谷という映画館で曽根中生特集!!

曽根中生とは漫画ネタでいうと「鳴呼!花の応援団」や石井隆の名美シリーズ「天使のはらわた 赤い教室」の実写版を撮った方。
あと光石研のデビュー作「博多っ子純情」!そして、ロマンポルノ作品の数々。これを支えにします。

渋谷店 清水

どもども。
渋谷店で少年マンガと記憶コーナーを担当しております清水です。

2009年って本当にもう終わりなの?
思えば今年に入って「今年はやるぞ!!」 (←何を?) と気合入りまくりで走り出したつもりがいきなり怪我をしてしまい望まぬ生活の変化を強いられるというスタートに。うまくいかないもんです。 そんな中開始した渋谷店・記憶コーナー。仕事でもまた新たな局面を迎え勉強の日々が始まりました。

様々な「マンガ以外」の本との邂逅。中にはご縁を感じさせるモノにも出会えました。 今回は恐らくバラバラの得意分野を持つ記憶スタッフ間でも随一の非頭脳派にして非理論派 (トホホ・・・) を自負する自分らしいチョイスにしてみました。


『回想の野口晴哉 朴歯の下駄』 (野口昭子・ちくま文庫)

記憶スタッフ間でもかなり評判の一冊。
昔から“カラダ関係”にはある程度のこだわりみたいなものは持ち続け、それなりの努力や体験、情報収集を重ねてきたつもりだったのに、 この本を手にするまでタイトルの野口晴哉氏が創始したいわゆる「野口整体」を知りませんでした。 しかもその後でこの「野口整体」は結構有名、という事実を知り、自分の不勉強さに愕然としてしまった。あぁ、はずかしー。

この本は野口氏の奥方である昭子氏による夫とのエピソードを綴ったもので直接野口整体についての内容ではないのですが、それでも野口晴哉及び 野口整体の凄さが満載。怪我を抱えた身には特に興味深く読めました。 昭子氏の親しみやすいお茶目な文章が楽しい。
晴哉氏による整体の著書も多く存在していますが、その入口としても適していると思います。



『拳聖澤井健一先生』 (佐藤嘉道・気天舎)

『生きること、闘うこと 太気拳の教え』 (岩間統正・ゴマブックス)

「太気至誠拳法」、通称「太気拳」は様々な武道の達人であった澤井健一氏が中国に渡り、日本人でありながら中国拳法 (意拳) に弟子入りし、帰国後それを元に創始した武術。

その稽古の中心となっているのが「立禅」や「這い」などの鍛錬法であり、太気拳以外の多くの武道家、格闘家が練習に取り入れていることでもその有用性は実証されています。

技術論に偏りがちな現代の格闘技や競技武道とは一線を画し“気”“気分”を重んじる太気拳。 これらの本に語られている人生とは、武術とは、強さとは・・・余りにも奥深いお話しの数々に自分の緩さに腹が立ってくるばかり。


『平直行が行く身体感覚の宝島』 (平直行・BABジャパン)

そして現在その「太気拳」に弟子入りしていて、その他にも色んな活動をされている格闘家、平直行氏。当社をご利用頂いている方々には「グラップラー刃牙」のモデルとしても有名です。

11月に出たばかりのこの本には最近の平氏の活動を中心に自身がこれまで格闘技を通じて経験、感じてきたことや身体の使い方などが綴られています。

現役時代数々の実績を残してきた格闘家であることや、「刃牙」という作品のイメージとは裏腹に実物のご本人はもの凄く明るい方で、それがダイレクトに表れた独特な文体となにより語られている内容のポジティブさに感動すら覚えます。

何でも貪欲に楽しみながら、学ぶ。そうすることで得てきた大きな出会い。空手、ボクシング、修斗、SB、柔術など誰もが羨むほどの格闘技経験値を誇る日本格闘技界の生き証人。でもそれら全ては自分が楽しく、気持ちよくなるために通ってきた結果なのでしょう。

物事がうまく運ぶのも自分次第。この方の計り知れない人間力にはすっかり感服。学ぶ点多し!


『BLACK BOOK 蔵人独白』 (真木蔵人・コアマガジン)

真木蔵人といえば俳優としてスキャンダラスな、危険なイメージを持つ人が多いと思いますが、彼がこれまで世を賑わした数々の行動の裏には余りにも愚直に筋を通そうとした結果であるのかも知れない。

この本には彼の目に入った森羅万象を片っ端から斬りまくるのだが、その言葉のブレのなさはかなり痛快。
「ビルを建てるために地球はあるんじゃない。」「エコロジーなんて、そんな言葉にした段階で、無意味だ。」
など千葉の片田舎で自然と共に生活している真木ならではの言葉もあれば、
「高え服着てるけど、お前の肌が安いな。」「ノーファッキンインターネット!肌でピピーンって感じるのが大切だ。」
と軟弱化しつつある現代人を蹴散らし、
「キング・カズはダンスだって最高だった。」「昔のアナウンサーはヒップホップだった。」「自分たちだけが楽しくて、何がお笑いだ。あのねのねは最高だった。」
など、先人達へのリスペクトを独自の言語感覚で贈る。

最近は奥方の真木明子サンの方がメディア露出が目立つ印象だけど、もっと見たいなぁ、真木蔵人。個人的には「蘇る金狼」がカッコよかった。


『俺達のストリップ物語1976-2006』 (川上譲治・データハウス)

ストリップ界にとっての2009年は大きな1年でした。 なんといっても覚醒剤で逮捕された元グラドルの電撃参戦。一般マスコミを賑わせ、一見客までもが大挙劇場に押しかけた。まさに歴史的快挙。
そしてその元グラドルは今後も踊り子活動を続けることを表明し、コースも発表された。これは凄いことだー!

しかしその影では年々進行する劇場の減少という危機的状況があり、これがスト復興に繋がる事を願うばかり。
この本は20代よりストリップの世界に飛び込んできた川上譲治 (ジョージ川上) 氏がその長い劇場生活を写真に収めた貴重な記録集。

ジョージ川上といえば「ショーアップ大宮劇場」にて数々の好企画を立ち上げ、大宮の全盛期を彩った人物。
マンネリ化しつつあった現在の興行スタイルとは一線を画したそれらは芸術志向だった川上氏ならではと言っていいでしょう。

ランダムに掲載された写真は全てモノクロのため時代が分かりづらいが、それが却って単なる寄せ集めではなく一つの世界としてまとまりを感じさせます。

以上、どーですか、お客さんッ!!・・・こうしてみるとモテる要素ZEROですね。確実に女子を突き放しています。そして、2010年も。

渋谷店 北


THE DOLL ハンス・ベルメール人形写真集 ハンス・ベルメール

日本で出版された人形写真は少ないので最近やっと手に入れました。遅いですね。

ベルメールを知ったのは、澁澤龍彦所有のベルメールのレプリカの写真から。 2008年に神奈川近代文学館で開かれた澁澤龍彦生誕80年回顧展では彼の私物が公開されていたのですが、このレプリカがなかったのでがっかりした覚えがあります。

大腿の薄い肉付きの緩やかな曲線がほっそりとした脹脛へ続き、その足が幼い少女のものだと連想させるがその脚の根元を追えども少女の顔は見当たらない。 これは一体なんなのか。人間か、否か。
想像は巡る一方。


怪物 アゴタクリストフ戯曲集 アゴタ・クリストフ

「悪童日記」作者の戯曲。
短編ばかりを集めたもので、私が一番好きだったのだものが「エレベーターの鍵」。 一人芝居なので黙々と語り続ける女が怖いことになるでしょう。


オモシロ雑貨 CIRCUS MAX 10月号増刊 オモシロ雑貨

世の中では用途を極めた簡素でスタイリッシュな日用品のほうが売れてますが、私にとっては無駄に派手で使いにくい雑貨のほうが愛着がわくのです。

昔はよくそんなものを集めては母親に叱られました。今は自分のお金で買うので怒られません。 ママ側からしてみれば一種の危険思想であるような、くだらないし高いしどうしようもない、みたいな雑貨を集めたのがこの雑誌です。

猫耳イヤフォン、何時かわからないがかっこいい時計、持ち手が裸体になっている歯ブラシ。

無駄!

あまりの無駄さに胸が高なります。

一つ一つの小物にいちいちコメントがかかれているんですがそれもまた無駄さを皮肉っていておもしろい。 わかってるんですよ、みんな。無駄だって。 でもおもしろいからいいんだ。


異能の画家 伊藤若冲 狩野博之 森村泰昌 ほか

超絶技巧と謳われる伊藤若冲ですが、この本ではカラーで紹介されていて、もう細部まで丸見えです。
私が好きな雪中鴛鴦図は残念ながら小さかったです。


死体は語る 上野正彦

著者がベテランの検察官で、仕事でであった死体の小話を集めたノンフィクションものです。

人間は嘘ばっかりつくが死体は嘘を言わないと言い切る著者。 そうですよね、嘘かもしれない言葉よりもそこにある事実ですよね。

死んだ後に誤診をだされたため死因が変わってしまった話については、「死んだ後も名医にかかりたいものである」など、この人は名言が多いです。

渋谷店の少年コミック担当の北です。
今年入社したばかりです。
2009年で一番気になったのは自分の行く末です。がんばります。

渋谷店 赤岩


1) 『ラップ歌謡大百科』(スモール出版)

APLUSやC.C.Gにはけして収録されることのないBなBOYが耳にしない、けどNASやJERUより響くJなRAPをフルカラーで収録したディスクガイド。「DA.YO.NE」は全ヴァージョンを紹介。


2) ヤンキー文化研究会『ヤンキー大集合』 (イースト・プレス)

2009年は『ヤンキー文化論序説』や『ヤンキー進化論』も出てそれはそれで読み応えあったのですが軽く読めるコンビニ販売のこっちのほうが何度も読みました。


3) 内田裕也『俺は最低な奴さ』 (白夜書房)

2009年に僕が身近に見た一番の有名人は渋谷クラブクアトロでヒカシューのライブを一緒に観ている内田裕也と近田春夫でしたが、その近田春夫が聞き書きした内田裕也の自伝本。

2009年に渋谷店記憶コーナーで最も売れたのは都築響一の『デザイン豚よ木に登れ』『現代美術場外乱闘』でした。
2010年も買取・販売ともに頑張っていきたいと思っています。よろしくお願いします。

中野店 久保田


野口昭子「回想の野口晴哉/ちくま文庫」

お店のスタッフ全員読んで皆で話したんですが、肯定的な意見がほとんどでした。 読みやすかったし、竹を割ったような爽快な読後感は今年一番。
整体への興味も俄然わいたので図書館で野口先生の「体癖」を借りて読みました。 それ以来 (今に至るまで) 会う人の体癖を想像してしまうようになりました。

ちなみに自分は妄想とか頭でばっか考えて行動が伴わない上下型1種ではないかとの診断。9種の嫌いな3種ではなかった (多分) ので良かった!


山尾三省「銀河系の断片」

これも皆で読んだ本。
いろんなことを考えて、悩み、矛盾を抱えて、それに気づきながらも、愚直に、誠実に生きた三省さんの言葉は、俗物の僕にすごく沁みた。


ポール・オースター「幻影の書」

これも皆で読んだ本。
自分が選びました。柴田訳も良かったし、話も面白かった。ウディ・アレンみたいだなと思った。


久保俊治「羆撃ち」

辻中さん(※中野店の髭スタッフ)に借りて読んだ。そして泣いた。久保さん(※中野店の厳ついスタッフ)と猟犬フチとの奇跡的なつながりに嫉妬。俺のフチは何処。
あと山登る人とかそうだけど、こういう自然とともに生きる人の文章が上手いのはどうしてだろう。

その他


ジョン・グレイ「わらの犬」

みすず書房。定価が高くて嫁に買う前に断りをいれました。
まだ読み途中。ヒューマニズム糞食らえ、進歩なんて嘘じゃいという素敵な内容だと信じて読んでますが難しくて、結果いつも睡眠導入剤に。


三田格「アンビエント・ミュージック」

スタジオボイスで連載してた。ガイドブックとして買いました。素人なので用語で分からないことがあります。ドローンのことを誰か教えてください。

写真集やヴィジュアルブックはたくさん見た一年でした。
復刻以外だと佐伯慎亮さんの初写真集が良かったのと、新刊じゃないけどタルコフスキーのポラロイド写真がすごく好きでした。
あっちゃこっちゃばたばたして余り読めませんでた。
でも、うちでは読書会を催してて、普段自分では選ばないような本を読む機会が多くて勉強になりました。

中野店 三次

新刊のベスト5だと、僕の好きなジャンル、今まさにそういった本が出ている手前、もろかぶりしそうなのであえて新刊ははずしました。
新刊で面白かったのはたくさんありました。どうしても気になる方(いるのか?)は僕のトピックス見てもらったら分かるかと。。


セックス・マシーン / リチャード・E・ゲイズ

ポルノSF。未来から来た性的快楽奉仕者(つまりセックスの超エリート)が巻きこまれる (おこす?)エロティックSF作品。 入手するのに時間とお金かかったけど、その分楽しめました。


UFOジャック / 高津琉一

エロティックSFと題された本作。
こちらは70年代に快楽小説というポルノ雑誌に掲載されたもの。 昔のポルノ雑誌ってバカみたいなSFやミステリが掲載されてるので侮りがたく(個人的に)、こちらも例にもれず。

宇宙人の女の子の×××の特異性はその宇宙人特有なのか、その×××は長期間保存がきく冷凍庫のような役割をしていて、、、。

ジュヴナイルSF、しかも国産の70年代ぐらいのいい雰囲気にポルノをいれてみました、といったような文体。
是非読んで欲しい作品。

と、ここまで書いておいて、お前エロいもんしか書いてねえじゃねえか、という声が聞こえてきそうなんで、エロティックじゃないSFを。


月で発見された遺書 / ハーマン・ウォーク

バトラー大尉が軍事目的で月へでかけたが、ロケットの故障で消息が不明に。 そしてその後発見された遺書には意外なことが書かれていた。。。

創樹ファンタジーの二番手として70年代中期に発行されたのが本書。 今だからこそ読まれるべき作品。


黒いパラシュート / E・S・

ポケミスでお馴染みのサム・デュレルシリーズの昭和30年後半に出た異訳版。
訳者は福島正実氏。かなり良かった。

あと名前度忘れして、家の棚やダンボールででそれを見つけられず(買ったはずだからあるはずなんですけど) タイトル、作者とも記載できないのですが、刑務所から忽然と姿を消すトリックの話。
付録本でした。個人的に読後感良かった。

これから読みたい (読む) 本


本格ミステリの王国 / 有栖川有栖

有栖川有栖氏の作品本当に大好きです。
火村と有栖、江神と有栖のコンビは非常に好きで、アンソロの短編含め何度も何度も、無論今も現在進行形で読み返しています。

あとは教えて頂いた某ミステリのシリーズの待ちに待った新刊でしょうか(2月くらいと言ってましたが、できたら早めでお願いしたいです)

今年は色々ありましたが、例によって本ばかり買って漁っていた一年でした。 欲しかった古書が偶然手に入れられたり、買い逃してしまったり。

個人的に最近集めているシリーズは、プリズムがきらりと光る文庫本のあいつら! 緑、黄色、青、ピンク、白と、我が家の文庫の棚はぐっちゃぐっちゃに色鮮やかですが、今度はあいつらを、、、あっ、、かぶってる。

とにかくSFとか探偵小説とか怪奇幻想とかUFOとかグリモワールとか、、そういったもの大好きです!!
上記のようなジャンルの担当・中野店 三次

中野店 川越


1、ダイノサウルス作戦 豊田有恒

タイトルがちょっと・・・ですが、内容はしっかりSF+精神世界でした。

23世紀のタイムパトロールと生物学者が白亜紀後期末の福島県いわき市へ調査にいくことからストーリーがはじまります。

福島県いわき市と言えば子どもの頃に図鑑で見た『フタバスズキ竜』が頭に浮かび、そのフタバスズキ竜ももちろん登場してくるのですが、いつのまにかストーリーは人間の先祖まで遡り、人間は猿が進化したものというダーウィンの進化論というものをすでに約30年前に著者はこの本の中で否定している。

もし恐竜が滅びずに、哺乳類ではない別の種族が地球の支配者になっていたとしたら?、それはもしかして私たちの知る典型的な宇宙人『グレイ』なのでは? SFならではの切り口で楽しみながら読みました。


2、回想の野口晴哉

野口整体を後世にまで残したいわば偉人。
野口晴哉は本で読むとちょっと頑固で、わがままな奇人!?でもなんか、人に愛されるかわいらしさがある (笑) そこに私は惹かれました。

人間は生まれてから親、社会、世の中の環境に左右され自分を抑え、己を装って生きているもの。 それらを一切無視し、10代で自立し周囲から頑固、わがままなどと言われようが、自分を信じ意思をつらぬき通した野口晴哉の生き方に『男の美学!?』を感じました。


3、自分でできるお祈り生活のススメ

方位、浄化の仕方などこの方にすべてご教授賜りました。私の占いの師匠です。
あく縁の切り方、塩の用い方など酒井げんき名での最初の著書になります。 ご本人から直接いただいた大切な1冊です。

最初は誰にでも読みやすいようにライトに書かれたようです。スピリチュアルなものに関心のある方はどうぞ。

中野店 二宮

2009年印象に残った本 (思い出した順)


  • 高木蒼梧「玄峰老師」
    終戦の詔の名フレーズ「堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び」の原案者として有名な禅僧玄峰の評伝。 この本を読んでからは挫けそうなると脳内ラジカセから昭和天皇の終戦の詔が自動再生されるようになり頭から離れませんでした。
  • 井筒俊彦「読むと書く」
    ”幻影の人 池田弥三郎を憶う”という追悼文がすばらしい。
  • 川上康介「農民になりたい」
    興味のあった高橋がなりの国立ファームが取り上げられていたので。
  • シュタイナー「社会の未来」
    お金と労働についてのシュタイナーの意見が講演なのでわかりやすく書かれていたので。
  • 高村薫「太陽を曳く馬」
    先日地震でゆっくりと目覚めたら眠っている間も考え事をしてるのがわかり気味が悪くなった。 本人の知り得ないところでも絶え間なくおしゃべりしているこの自意識の気持ち悪さそのものみたいなお話。
  • 山尾三省「銀河系の断片」
    真ん中に草のある道を歩いていきたいと読んで思った。
  • 早見慶子「カルト漂流記オウム篇」
  • ミック・ファレン「アナキストに煙草を」
  • PIE BOOKS「日本の図像 神獣霊獣」
  • 山本聡美/西山美香「九相図資料集成」