今日2月9日は手塚治虫先生の命日、そして「まんがの日」。 呼び寄せられるように入荷があったので店頭お出ししてます。画像クリックでそれぞれ詳細ページに飛びます。
東光堂の漫画選書シリーズがメインにゾッキが少し。
「大宇宙人」は不二書房「来るべき世界」前篇、「宇宙線塔」は鶴書房「タイガー博士」、「月世界の謎」は不二書房「月世界紳士」のゾッキです。
正直状態はよくないのですが、本としての体裁はしっかり保っているのでまず手に入れたい！という方にもおすすめ。落丁など読むのに支障をきたす大きなダメージはないです。
この中だと出づらいのが「一千年后の世界」。
昭和23年の初版、28年の表紙絵が変更になる再版、そして今回お出しする「厚版」の3種類があります。
初版＆再版とこの厚版との大きな違いはセリフの大幅改変。
もとは少年と少女が時間を股にかけ大活躍する明快な冒険活劇。 ふたりを色々と邪魔する、原始時代からやってきた猿人という敵役がいるのですが、かれがヒロイン・リイ子への愛情を自覚しひととしての心が徐々に灯っていく...という伏線があり、そちらを追っていくとなかなか切ないラストで、いかにも手塚先生らしいスパイスと思います。
...が、厚版はそういった「猿人のリイ子への愛情」の部分がほぼ全て書き換えられ、絵も展開も同じなのにまるで別物のお話になっているのです。
(こまかな違いなどの詳細は「まんだらけZENBU83号」にて図案とともに紹介させていただいたのでご参照いただければ)
この大幅改変はおそらく東光堂によるもので、「一千年后の世界」自体は復刻されており読むことが出来ますが、改変後のこの厚版バージョンは一度も復刻されていません。
ちなみに一緒にお出しした「吸血魔団」にこの厚版バージョンの一千年后が併録されていて、厚版バージョンはそれらでしか現状読む術がありません。
個人的には改変前の愛のために戦う猿人が好きなのですが、現在読む術が非常に少なく世から忘れられようとしているこちらの厚版バージョンもとても魅力的に思います。
前途のとおり、読むのに差支えはなく状態でお値段はひかえめなので、気になる方は是非。
ショーケースにお出しします！
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