ビッグ錠 『パソコンワールド』(集英社)
パソコンをテーマにビッグ錠先生が放った短編集。
ホラーやサスペンスにとパソコンという一つのキーワードで
かろうじて繋がっているゴッタ煮の内容にパワーと勢いを感じます。
何個かそのうちの短編紹介すると...
ゲームのチョイスが、
・強盗ゲーム
・誘拐ゲーム
・銀行襲撃ゲーム
・スリゲーム
??
と思いつつも、
おもしろそうだなとすんなり受け入れる子供たち。
警察にすぐ捕まったりと失敗しつつも、
犯罪レベルをあげて成功していく。
実は、
犯罪者をつくりあげるために犯罪者が作ったゲーム。
なんか手間暇かけて子供に犯罪させるのってそれほどメリットなくないか、
と思わなくもないんだけど、最終ミッション(実際の犯罪とリンク)のハイジャックゲームへ。
やったぜベイビーッ!と実際のハイジャックを自分たちがやったとは思わず大はしゃぎ。
ただテレビ見て、ハイジャックまじでやってんだと愕然として、
でも次の瞬間やり返そうぜと犯罪者に仕返し。
いとも簡単にこの犯人つかまるんだけど、
ほんとにハイジャックをさせるまでに鍛え上げたゲームを作る腕前はホンモノなれど、
テレビで気づかれるくらいのディフェンスの弱さは犯罪に向いてないと言わざるを得ない。
他の短編もエッジが効いていて、
ナチス的な塾にちょっとヒトラー入ってる先生。
その先生にPCで催眠術をかけられるオカルト感溢れるカット。
さらにホラー度が高い短編だと...
天才プログラマーの無念の思いがPCに残ってて心霊現象を起こすはなしとか。
もうパソコンという1つのテーマで作った短編にしては豊富すぎるドラマとそのぶっ飛び方は
ビッグ錠先生の飽くなきエンターテイメント魂を感じずにはいられません。
コンプレックス 竹下