岩井の本棚 「マンガにでてくる食べ物」 第30回

1985年度版これが雄山だ大百科


(図1)


(図3)


(図5)


(図7)


(図10)


(図12)

前回は初期雄山の素晴らしさを紹介しましたが、まだ足りてない気がします。
皆さんが雄山みたいに生きたい、と決心したとして、前回のコラムを読んだくらいで真似されても痛い目を見るだけです。 雄山は一朝一夕にしてならず、です。
というわけで、海原雄山実践編です。


(図2)


(図4)


(図6)


(図8)


(図9)

ただし、以下の条件は最低限満たしていないと、外見的に雄山に見えないので注意してください。

「和服(茶・紺・グレー系)が似合う」(図1)
記憶では雄山は一度も、洋装で登場していません。

「身長180センチ以上、90キロ以上」(図2)
168センチ位の士郎が見上げる程度、しかも恰幅もよく、見栄えがします。
実はけっこうな巨漢なのです。ヒョロ男クンは断念してください。

「口が大きい、眉が太い」
おちょぼ口の雄山はありえません、細眉も同様です。

「60歳以上の男だ」
老練してこそ雄山です。
15歳の女の子が180センチあり、口が大きくて眉が太くても雄山にはなりえません。

ちなみに雄山ヘアーとしかいいようがない独特の髪型は最重要項目ですが、 アレはコミックスをもって美容院に行き「こんな感じで」と見せるほかないのが難点です。

僕が美容師だったら、待ってました! と口走りますね。

・雄山の特徴

気性の激しさは前項にて触れましたので、それ以外の特徴をいくつか。

「豪傑笑いをする」

前項「わあっはっはっはっはっ!!」に代表される、きちんと口声音化した豪快な笑い方が雄山の特徴です。
クスッと周囲をはばかってわらう、という姑息なことは雄山はしません(図3・4・5)。

「一言でバッサリ斬る」

無礼な女に冷やし中華について語れ、と言われて(図6)、京極さんを見舞った時に士郎と鉢合わせ(図7)、 士郎が美食倶楽部に来る、と喜ぶ使用人たちに対しては(図8)、 道路が混雑して渋滞に巻き込まれると(図9)、と、相手が嫌がる、恐がる言葉を一瞬で見抜き、即・怒鳴る。

対アメリカ外交、対中国外交要員として、政界に打って出るべきです。


(図11)


(図13)


(図14)


(図17)

「まずいもんには遠慮しない」

士郎ですら3巻の途中くらいから、まずいと思っていながらも口に出さなくなったのに(ちなみに山岡は51巻で、料亭でなんとカニカマボコを出されたときですら、 黙って耐えるという、不甲斐ない玉ナシ男に成り下がってしまいました)、雄山はためらったことがありません。

周りの人がいやな気分になろうとも、代議士に接待されていたとしても、日本の国益に反することでも、ぜーんぜん躊躇しません。


(図15)


(図16)


(図18)


(図19)


(図20)


(図21)


(図24)

では怒りの雄山をまとめてみたので、存分にご堪能下さい(図10・11・12)。
味方にいたらたのもしい限りですが、敵にいたら厄介なこと限りありません。

ふだん「お父さんなんてぜんぜん頼りないじゃない、大嫌い!」とおもっている女子諸君、 これを見るとお父さんが頼もしすぎるのも考え物だ、ということが分かりますか?

「いうだけ言って、席を立つ」

と、これだけの按配で怒っておいて、連れの人間がみなにジロジロ見られたり、 身の置き所もないような羽目になったとしても、委細かまわず、自ら席をけって出ます(図13・14)。

残された人の気持ち、特に京極さん、中川、良三の3人はこれだけやられても雄山に愛想を尽かさないんだからとてつもないM、としかいえません。

特にこの28巻「長寿料理勝負」のときはこれだけの啖呵をきり(図15)、 あげく「わっはっは」と高笑い、何にもない砂浜に去っていく雄山、身の置き所のない中川、と、なにもかも雄山的様式美に満ちていて、必見です(図16)。

「良三には食べ物をぶん投げる」

その雄山自ら大抜擢した良三。
それだけにヘマをしたら厳しく、良三は何度も怒鳴り散らされています。

で、そのたびに料理をぶっかけられています(図17・18・19)。
・・・良三君は雄山に心酔しているので、たぶんコレ、ホントはいじめられた時うれしくてたまんないんじゃないかと思うのは、気のせいですよね。


「クビだ!と頻繁に口にする」

よほどの人でないとそう滅多に口にするセリフではないと思うのですが、 雄山は誰かがヘマをすると、すぐ「お前はクビだ!出て行けえ!」(図20・21)と叫びます。


「ラーメンの食べ方がお見事」

気の狂った展開の38巻「ラーメン勝負」。
雄山のラーメンの食べ方は、周囲にいた栗田たちがおもわず「お見事!」と云うくらい、豪快さに満ちています(図22)。

僕は生まれてから、けっこうな数のラーメン食してますが、一度も周囲から「お見事」といわれたことがありません。
そうとう見惚れてしまう食い方だったんだろうなぁ、と思うのですが、じゃあ、どういう食い方をしたら「お見事」なのかはサッパリ分からない。


(図22)

おそらくこれを読んでいる貴兄も、一度も言われたことがないと思います。
そのよほどのことをパッとやってのける雄山はやはりスゴイのです。

以上のことを、明日からでも実践すれば、皆さんも海原雄山になれます。

・・・ただ、60歳以上の、しかも恰幅のよい紳士が当コラムを読んでいるとはもちろん思えないのですが・・・。

・・・また仮に存在したとしても、コレを実践したところで、ただみなに「あの人も年を取ったら気難しくなったわネ」と陰口を囁かれるだけのような気もしますが・・・。


(図23)

・・・と2回にわたって雄山の素晴らしい世界をお送りしてまいりましたが、個人的に大好きな雄山のおちゃめなツッコミを紹介して終わりたいと思います。

ハンバーガーの食い方が分からん、とゴネる雄山と(図23)、ケチャップが手についた、と中川を叱る雄山(図24)。

・・・誰が大変って、やっぱ中川が一番大変だよなあ・・・。

※この記事は2005年5月13日に掲載したものです。

(担当 岩井)

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