岩井の本棚 「マンガにでてくる食べ物」 第10回

「おにぎり」

コンビニでおにぎりを買うことは、今や何のふしぎもないことですが、 初めて売り出したときには「おにぎりひとつ作ってあげれないなんて」と主婦の堕落を訴える苦言が巷に渦巻いたそうです。今からは考えられないですね。

それというのも当時は毎日ご飯を炊いていて、残りご飯が頻繁に出たからです。
残ったご飯はおにぎりやチャーハン、お茶漬けにしたりしました。
そういえば子供のときにはあまったご飯を焼きおにぎりにした覚えがあります。

レンジご飯やコンビニの普及で、ごはんが余らなくなり、おにぎりを作った経験が全くない人も多いのかもしれません。
今回はそんなおにぎりが登場するシーンを抜粋していきたいと思います。



(図1)

おにぎりを「家庭の味」「手づくり」で表現したものでは、意外や意外、不良マンガ「ワースト」1巻(秋田書店・高橋ヒロシ)があります。
主人公月島花は登場シーンで、おばあちゃんの作ってくれたおにぎりを食べているのです。

不良たちにケチつけられ、おにぎりは地べたに落ちてしまう。
で「これはバァーちゃんが朝四時におきてにぎってくれたおにぎりだぞ!」と逆上するのです(図1)。 ただノリの表面積が小さかったり、いまいちシズル感に乏しいんですよね。

そうではなく、おにぎりを家内制手工業的な商品としてとらえているのは、これも意外ですが「あした天気になあれ」1巻(講談社・ちばてつや)があります。



(図2)

主人公向太陽の実家は定食屋。
荒川河川敷で、早朝ゴルフに興じるおっさん達に売るために、リヤカーかついでおにぎりやサンドイッチといった朝食を行商しているのです。

向太陽、といえばプロゴルファーの丸山茂樹を彷彿とさせる童顔で邪気のない少年、と言うイメージですが、初期のころは金儲けばかり考えている油断のならないガキでした。

2個で150円のこのおにぎり、米はコシヒカリを使っていて何だかすごく美味そうですが、見たところ包装とかまったくされずにリヤカーに収納されている。 衛生的に非常にビミョーな売り方をされています(図2)。



(図3)

前2者は手で握れるような大きさですが、バカみたいな大きさで度肝を抜くものも存在します(図3)。
「ああ播磨灘」13巻(講談社・さだやす圭)で、天下無双・播磨灘に挑戦するために、路上生活をしてまで挑みつづける力士・天山。

彼の昼食は近所の人が作ってくれた人間の頭ほどもある、バカでかいおにぎり二つ。
これを食べて彼は馬力をつけるのです。
全域をノリに覆われた巨大なそれはもはや食べ物ぽくなく、昔のマンガに出てくる大砲の弾みたいのを想像してください。あんな感じです。

ところが食べるときの擬音が「むごっ、むごっ」といういかにも米がのどに詰まる感じの擬音で、やっぱりさだやす圭さんはこういうムダ表現(でもとても大事)がうまいなあ、と思う次第です。
ちなみにこのマンガ、相撲のマンガと言うことで食事シーンがやたら多く、どのページをみても太った男たちがモリモリなんか食べてるか怒鳴ってる、というフェミニンさゼロの男ムードです。



(図4)

しかしどんな食事でも最後には大便になるのですが、最後に変り種で「ロード・オブ・トラッシュ」(ビブロス・A-10)に出てきたおにぎりを紹介します。

魔法の壷を便器がわりに使ったら、何故かウンコがおにぎりに変身してしまった、という珍シーンです(図4)。
ちなみに成年マンガ兼RPGファンタジーという稀有なジャンルを抜群の画力で成立させたこの作品、同人活動を精力的に行っているA-10(サークル名は「ガジェット工房」)さんの唯一の商業誌単行本。
発行から2年を経過しても古さも感じません。

そういえばウンコといえば「えの素」(講談社・榎本俊二)、ですが、どこかで尻の谷間にオニギリを挟んだシーンがあったように思います。
で、さがしてみたんですけれど見つからず。あれは幻だったのでしょうか?

余談ですが図3の超巨大おにぎりは、池袋西武デパートの地下で「ばくだんおにぎり」(1個400円)という名前で類似品が売られていたと、東海林さだお先生のエッセイにありました。興味のある方はどうぞ・・・って、フツーのヒトはおにぎりがでっかいだけじゃ興味ないすよね。
今気が付いたんですが、にぎりめしの話ばっかしてる自分は、ひょっとしてダメですか?

「ああ播磨灘」「あした天気になあれ」「ワースト」は本店、「ロードオブトラッシュ」は本店2で取り扱いをしています。お探しの方はお気軽にスタッフにどうぞ。

※この記事は2004年7月15日に掲載したものです。

(担当 岩井)

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